AMDのOpteron、1年目の通信簿は「二重マル」

John G. Spooner (CNET News.com)2004年04月23日 12時40分

 長らく2番手に甘んじてきたAdvanced Micro Devices(AMD)だが、サーバ向けのOpteronチップでついに勝ち馬に乗れたようだ。

 ちょうど1年前の4月22日に64ビットOpteronプロセッサを発売したAMDは、大手サーバメーカー各社に製品が採用され、収支も黒字化し、強豪Intelに製品計画を見直させるほどの影響力を持つようにさえなった。

 「AMDにとって、Opteronは一流メーカーになるための切符だった」とMercury Researchの主任アナリスト、Dean McCarronは述べている。「Opteronによって、AMDはサーバ分野への進出の際に必要だった強みを手にしたが、この分野はIT関連市場のなかでも最も参入が難しいとされているところだ。さらにOpteronのおかげで、AMDの収支も改善した」(同氏)

 Opteronの売上は、競合するIntelのXeronチップの売上にはまだ遠く及ばない。しかし、だからといってAMDが達成したものが小さいという訳ではない。とりわけMicrosoftが切り開いていなかった分野に進出するという賭に出たことを考えると、AMDが成し遂げたことがらは高く評価されるものだろう。

 Intelは、Hewlett-Packard(HP)と協力しながら、何年間もかけて64ビットItaniumチップを開発した。これに対してAMDは、顧客にとってより重要なのはソフトウェアの互換性とシステムの価格だと考え、全てのPCプロセッサのベースとなっているx86アーキテクチャに手を加えることにした。

 その結果、Opteronは32ビットと64ビットの両方のソフトウェアを動かせるプロセッサとなり、顧客は現行のソフトウェアを使い続けながら、将来64ビットソフトウェアに移行できるようになった。一方、IntelのItaniumは32ビットソフトウェアをうまく稼動できないため、企業がItaniumチップに移行する場合はハードウェアとソフトウェアも入れ替えなければならなかった(32ビットから64ビットに移行すると、主に利用できるメモリ量が大幅に増えるため、サーバの性能が向上する。)

 Opteronが機能するためには、Hypertransportと呼ばれるチップ間のデータ通信技術など他の開発作業が必要となることから、AMDの判断は当初かなりリスクが高いと思われていた。

 しかし、Opteronは発売直後から勢いを得た。IBMは直ちに、同社サーバのあるモデルにOpteronを採用すると発表し、まもなくSun MicrosystemsやHPも相次いでOpteronサーバの発売計画を発表した。これでAMDは、4大サーバメーカーのうち3社に採用されるという大成功を収めた。企業や大学などさまざまな顧客が、ビジネスプロセスや製品開発、研究などの目的でOpteronサーバを導入し始めている。

 さらにIntelさえもが、AMDに関心を寄せている。Intelは今年に入って、独自の64ビット対応x86チップを提供すると発表した。最初のバージョンとなる64ビット対応Xeonプロセッサ(開発コード名「Nocona」)は年内に発売される予定。Noconaは64ビットだけでなく32ビットのソフトウェアも稼動できるという。

 Microprocessor Reportは、先頃明らかにしたある分析のなかで、IntelはNocona製品の開発に、AMDの発表した64ビットチップに関する設計仕様や設計例を利用したと結論付けている。インテルのある広報担当者は、Noconaが設計の段階からx86およびMicrosoftの64ビット版Windowsとの互換性を持つよう考えられており、両者のチップがよく似ているのもそのためだという。IBMをはじめとするほとんどのサーバメーカーでは、Opteron搭載マシンとNoconaサーバを同時に提供することになるという。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。

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