インテルの社内IT戦略は「IA化、モバイル化、グリッド化」

藤本京子(CNET Japan編集部)2004年04月19日 20時45分

 IT技術のなかでコアともいえる半導体。その半導体のトップメーカーとして世界を牽引するのがIntelだ。各企業がIT化でコスト削減や効率化を進めるなか、巨大IT企業であるIntel社内のIT化はどのような戦略の下で進められているのだろうか。IntelのCIO、ダグラス・ブッシュ氏が19日、同社の社内IT戦略について語った。

 ブッシュ氏はまず、6年前と現在の社内データを振り返り、IntelでIT化がいかに進んだかを説明する。同氏は、従業員あたりの1日のLAN帯域幅が1998年の2.25Mから2004年では35Mと1456%増化し、全社のメールの件数が1日170万本から420万本と247%増化、IP電話の利用時間が月に780万分から3500分と349%増加したことを指摘する。世界規模でオペレーションを行うIntelでは、このような社内IT化により、時差のある時間帯で働く従業員同士の業務効率化や、毎週1万9000回にも及ぶ電話会議などで大きなコスト削減に結びついているとブッシュ氏は説明する。

IntelのCIO、ダグラス・ブッシュ氏

 またブッシュ氏は、Intelの設計業務における規模について述べた。同氏によると現在の設計環境は、45カ所の拠点で1万7500人のエンジニアが約5万のクライアント、サーバ、インフラストラクチャシステムを利用し、そのうえで300種以上の設計ツールを活用、設計データの容量は850テラバイトにものぼるという。「ムーアの法則に従い、製品の複雑さも増加する。実はIntelは、過去には設計業務でIA(インテルアーキテクチャ)環境を採用しておらず、このまま設計の複雑さが増加すると開発コストが膨大に膨れあがると判断した。そこでIAへの移行を進め、コスト増加を抑えることができた」とブッシュ氏。この移行により、同社では1997年から2004年末までに節約できる金額が合計9億2500万ドルにのぼるという。

 今後の方針についてブッシュ氏は、社内のモバイル化を進めることと、グリッドコンピューティング戦略を進めることに注力するとしている。1999年にCIOに就任したブッシュ氏は、当時からモバイル化を進めており、現在従業員の70%はノートPCを利用しているという。その結果「従業員1人につき効率性が1週間に数時間上がった」という。このモバイル化を科学分野でも適応させていきたいとブッシュ氏は述べる。

 グリッドコンピューティング化においては、これまで社内開発したツールを利用してきた同社だが、今後はオープンソースのソリューションを導入し、OGSA(Open Grid Services Architecture)準拠のものに移行していくとしている。

 Intelではまた、社内でのイノベーションや創造性を生み出す環境整備のため、さらには社外に対してIntelの創造的企業としての認識を高めるため、ITイノベーションセンター(ITIC)を設置している。ITICは、アイルランドとカリフォルニアという物理的な拠点に加え、オンライン上の仮想的なセンターも設けている。物理的拠点では、ITソリューションの展示やイノベーションに関連するトレーニング、セミナーなどを開催し、仮想的センターではイノベーションのための管理されたパイプラインを確立するとともに、イノベーション活動の存在を提示する役割を担っているという。

 ブッシュ氏は、「イノベーションは、株主の利益はもちろん、顧客や従業員、会社に対しても利益をもたらすものだ。そのためイノベーションは必要なものであるが、リスクが高いためひとつの分野に投資が集中しないよう、幅広いターゲットでイノベーションを行っている」と説明する。同氏はIntelがターゲットとしているイノベーションの分野として、将来のシステムアーキテクチャ、分散コンピューティング、EラーニングおよびIT活用教育、コラボレーションおよびモビリティ、Eマニュファクチャリング、Eヘルス、Eガバメントなどをあげた。

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