オラクルの反トラスト訴訟、担当判事が専門家の証人任命を申請

Dawn Kawamoto(CNET News.com)2004年03月16日 20時02分

 OracleによるPeopleSoft買収を阻止する目的で米司法省が起こした反トラスト訴訟で、米地裁判事の1人が、裁判所が再審査を行う際に手助けする専門家の証人の任命を求めている。

 米地裁のVaughn Walker判事は、12日(米国時間)に提出した申請書のなかでは、具体的にどの分野の専門家を任命するかについては明らかにしていない。だが、これまでの法廷での発言から判断すると、同判事は恐らく技術と経済の専門家を選任すると見られる。

 先週、北カリフォルニア地区米連邦地裁で行われた最初のケースマネジメントカンファレンスのなかで、Walker判事は、技術に関する自身の知識向上に強い意欲を示した。

 Walker判事は「両社の製品がどのようなものかを詳しくは知らない」と述べた上で、「私には予備知識が必要だ」と語った。

 また同判事は、競争的市場の定義について司法省とOracleの見解に大きな隔たりがある点にも注目した。

 裁判所が任命する専門家の採用に異議がある場合、両陣営は18日までに異議申立書を裁判所に提出する必要がある。この点について司法省、Oracleは共にコメントを控えた。またWalker判事の副書記官もコメントは控え、専門家任命の申請について言及するに留まった。

 「技術に関する裁判、とりわけ非常に複雑な事例を扱う場合には、(裁判所が任命した)専門家の証人に意見を求めることは珍しくはない」と語るのは、Kilpatrick Stockton法律事務所のパートナーで、反トラスト/企業法専門の弁護士、Stan Gorinson。「(専門家を任命することにより)無関係な問題を回避できるため、訴訟当事者も普通はそれを希望する」とGorinson弁護士は指摘する。

 「専門家は、判事が基礎的事項を習得し、矛盾し合う技術的な情報を消化するのを手助けする。(判決に)多大な影響を及ぼすこともあれば、ほとんど影響を与えないこともある」(Gorinson弁護士)

 技術に関する裁判で、裁判所が専門家を証人として任命した有名な事例としては、1997年のMicrosoftの反トラスト訴訟で、Thomas Penfield Jackson判事が米スタンフォード大法学部のLarry Lessig教授に問題の再検討を依頼した例が挙げられる。Jackson判事は当時、MicrosoftがWindows 95のライセンスを保有する企業に対し、同社のブラウザ「Internet Explorer」のバンドルを要求し、1995年に出された裁判所命令に違反したか否かという技術的な問題を検討していた。

 しかし過去に、Lessig 教授がMicrosoftに対して偏見を持っていることを示すメールを同社に送っていた事実をMicrosoft側の弁護団が発見したため、連邦控訴裁は結局、同教授の裁判への関与を認めなかった。Lessig教授が書いたそのメールには、自らの所有するコンピュータに同社のブラウザをインストールし「魂を売り渡した」との冗談が書かれていた。

 反トラスト訴訟を専門とするある弁護士は、判事がIT業界の関係者で、特定の事例に特別な感情を抱いていない人、あるいはどちらか一方の当事者に肩入れしていない人を見つけるのは容易なことではないと指摘する。

 また反トラスト訴訟専門の他の弁護士らによると、裁判の証人として学者が任命されるケースが多いという。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。

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