オラクルに対する反トラスト訴訟の鍵を握るマイクロソフトの存在

Alorie Gilbert(CNET News.com)2004年03月03日 19時31分

 [ニュース解説] OracleによるPeopleSoft買収を阻止しようという米政府の決断には、将来危険な競合相手となり得るMicrosoftの存在が全く考慮されていない、とアナリストらが指摘している。

 米司法省は先週、OracleによるPeopleSoft買収を阻止するため、同社を提訴したが、この提訴に踏み切った理由について同省は、そのような形で市場統合が行われれば、価格の上昇、技術革新の停滞、さらに高度な機能が統合されたソフトウェアアプリケーションのサポートの減少といった弊害が生じる可能性があるため、としている。

 Hewitt Pate司法長官補佐は、先週行われたマスコミとの電話会議の中で、司法省はOracleの買収を評価する上で、Microsoftが近い将来同社の競合相手となりうる可能性については全く考慮しなかった、と語った。

 PeopleSoftとOracleが合併すれば、高性能アプリケーションソフト市場はOracleと、ドイツのSAPの2社の独占状態となるとの司法省の主張を、アナリストらは疑問視している。というのも、同省の見解は、Microsoftの存在が全く考慮されていないからだ。Microsoftは最近この市場に参入したばかりだが、同社の莫大な資金力と競争力を考えれば、将来的に同市場において大きな影響力を発揮する可能性が高い。

 「Microsoftは全く未知の要因だ」と語るのはYankee Groupのアナリスト、Mike Dominy。同氏は「(司法省が)描いている市場勢力図はあまりに狭すぎる」と指摘している。

 Dominyの見解はまた、企業向けアプリケーション市場での競争は司法省が主張しているよりも激しいとするOracleの主張を裏付けるものでもある。司法省が提起した訴訟は、サンフランシスコの連邦裁判所で行われる予定で、Oracleもこれに応戦する構えを見せている。

 Oracleの顧問弁護士で、Latham & Watkins法律事務所に所属するDaniel Wall弁護士によると、Oracleは今回の反トラスト訴訟の弁論の中で、アナリストのこうした見解の多くと重なる主張をしていくつもりだという。Wall弁護士は、Oracleによる主な主張として、Micorsoftが将来手強い競合相手になり得ること、OracleがPeopleSoftを買収しても価格は安定した状態を保つと予想されること、PeopleSoftの後釜を狙う強力な他の企業にとって市場参入の障害はほとんどないこと、の3点を挙げた。

 「私にとって衝撃的だったのは、(司法省の)訴訟が世界で最も変化の激しい市場の一つが無競争状態になることを前提としている点だ」とWallは語る。「(高性能アプリケーションの)市場は目まぐるしい速さで変化に適応する。たとえ今回買収が行われたとしても、そのことに変わりはない」(Wall)

この記事は海外CNET Networks発の ニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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