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2003年Linux重大ニュースを振り返る

2003/12/17 21:48
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 2003年、Linuxをとりまく環境にどのような変化があったのか。オープンソースおよびLinuxの発展を支援する非営利団体OSDLが2003年Linuxレビューミーティングを開催し、今年1年のLinux業界の重大ニュースを振り返った。

 まず今年は、日本の政府関連機関がLinuxやオープンソースに対する取り組みを強化した年だといえる。6月に総務省が電子政府などのシステムにオープンソースOSを導入する際のセキュリティ面などの評価を実施するという「セキュアOSに関する調査研究会」を開催したことにはじまり、経済産業省は8月に「オープンソースソフトウェアの利用状況調査/導入ガイドライン」を公表した。7月には長崎県がオープンソースの自治体システムで特許を出願したことに加え、兵庫県洲本市は窓口対応業務システムをオープンソースで構築、2005年より稼働予定としている。OSDLは10月末に自治体システムへのオープンソース適用性に関する調査報告書をまとめ、ホームページ上で公開しているが、OSDLジャパンラボディレクターの高澤真治氏によるとこれまでに約1万件のダウンロードがあったという。

 さらに今年は大手メーカーもLinuxビジネスに本腰を入れ始めており、「LinuxがWindowsやUnixと同レベルの扱いに“格上げ”された」と、OSDLビジネス&マーケティングデベロップメントマネージャーの小薗井康志氏はいう。

OSDLジャパンラボディレクター、高澤真治氏
業界の主な動きとしては、3月にNECが「エンタープライズLinuxソリューション」を発表したことや、5月に富士通とレッドハットが提携し、エンタープライズ分野でのLinux対応を本格化させるとしたこと、10月には日立製作所と日本ユニシスがそれぞれLinuxソリューションセンター、Linuxビジネスセンターを設置したことなどが例としてあげられる。高澤氏も、「昨年までは“Linuxは本当に商売として成り立つのか?”といわれていたが、今年は多くの企業がLinuxはビジネスになると認識したようだ。これまでベンダーの検証センターなどはWindowsが中心だったが、Linux専門のセンターも出現し、本格的になってきた」という。ただ同氏は、「今年はまだ準備期間で、収益につながっているところは少ない」とし、今後の発展に期待していると述べた。

 いっぽう、Linuxのディストリビュータにおいては、1月に仏MandrakeSoftが会社更生法を申請、5月にはSun MicrosystemsがSun Linuxの提供を中止しRed Hatと提携するなど、淘汰が進んだ年ともいえる。小薗井氏は、「確固としたビジネスモデルを作って製品提供を行ってきた企業が市場シェアを握り、明暗が別れた」としている。

 SCOの裁判関連については、今年のLinux業界で最も注目されたニュースといえるだろう。3月にSCOがIBMをUnixライセンスに関する契約違反で提訴したことにはじまった一連の動きは、その後IBMによる反訴、さらにRed HatによるSCOの主張根拠確認の裁判が提起されている。12月にSCOは、裁判所より主張の根拠となる証拠を提出するよう求められた。OSDLとしては、7月と11月にSCO問題に関するポジションペーパーを発行しており、

OSDLビジネス&マーケティングデベロップメントマネージャー、小薗井康志氏
「裁判はともかくとして、Linuxを使う場合に何に気をつければいいのかをまとめた。冷静に考えて何がいいのか、悪いのかを見極めてほしい」(小薗井氏)としている。

 今年はLinuxがデスクトップ分野にも拡大をはじめた1年だった。5月にジャストシステムが一太郎for Linuxの開発意向を表明したことや、6月のLindows 4.0のリリース、10月のTurbolinux 10 DesktopおよびサンのStarSuite 7のリリースなどが主なニュースだが、高澤氏によると「中国や韓国ではさらにデスクトップ分野のLinuxの動きが進んでいる。中国のRed Flagが提供するLinux OSなどを見てみると、まるで某社のOSそのもののようにゴミ箱やマイコンピュータなどが並んでおり、非常に完成度の高いものであった。日本はまだまだだが、OSDLでもデスクトップ分野に関するワーキンググループを立ち上げるかもしれない」としている。

 デスクトップ同様、同じくLinuxの採用が進んだのが組み込み機器分野だ。1月にNECが、3月に米Motorolaが携帯電話にLinuxを採用するとしたことにはじまり、12月にはNTTドコモもFOMAプラットフォームにLinuxを採用するとしている。またソニーや松下電器産業をはじめとする家電メーカーがCE Linux Forumを設立したことも注目すべき出来事だった。

 Linuxコミュニティでは、7月にLinus Torvalds氏がTransmetaを退社、OSDLのフェローとなったことに加え、カーネルメンテナーのAndrew Morton氏もOSDL所属となった。これで両氏はLinuxカーネルの開発に専念することになり、開発体制が強化されたといえる。高澤氏によると、Linux 2.6は今週末または来週はじめにはリリース予定で、大規模システムでの性能や安定性を向上させるための機能が強化された本格的なエンタープライズ向けOSとなる予定だという。

 すでにLinuxは基幹システムにも多く採用されており、ツタヤオンラインのウェブシステムや、目黒区役所の庁内ネットワーク、中央大学の教育・研究システム、イー・トレード証券のインターネット証券取引システム、UFJグループの総合金融プラットフォームなどにLinuxが使われている。このように非常にミッションクリティカルな分野での導入が進むLinuxだが、高澤氏は「まだ人命に関わる製造分野、例えば車の製造システムには導入されていないのが現状だ。本当の“基幹”システムへの導入はこれからだろう」としている。また小薗井氏は、「OSDLとしても企業がLinuxを使って障害が出た場合のサポートを行っていきたい」と述べた。

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