米IDC、2004年予測:「技術関連の支出が増加」

 市場調査会社の米IDCが米国時間4日に発表した予想によると、2004年には、技術関連の支出が増加し、SCOとの訴訟ではIBMが顧客を保護し、また海外の労働力によって米国の顧客に提供される情報技術サービスは倍増するという。

 IDCが同4日に明らかにした毎年恒例の新年の予想によれば、2004年は状況がかなり好転するという。同社は11月に、IT関連の来年の支出は約4.9%増加するとの予想を出していたが、最近行った再調査の結果、6〜8%程度以上になるとの修正を行った。なお、正式な予想は1月に明らかになる。

 IDCの調査担当シニアバイスプレジデント、Frank Gensは、「IT関連の支出は企業収益との相関関係のほうが、(国民総生産など)ほかの要因よりも深く、そして企業収益も増加しつつある。収益見通しが改善していることで、各社のCEOが『自社ではどうビジネスを成長させようか』と考えていることは明らかだ」と語った。

 しかしGensは、この先行きに対する自信は確固たるものではなく、悪い事件が数多く起こるようだと、成長も止まってしまう可能性がある、と付け加えた。

 全体的には、IT企業が多くの時間を費やして、何らかの戦略的な取り組みを新たに発表するようなことはなく、代わりに今後12カ月の間は、これまでに明らかにしていた計画の実行に集中する企業が多くなりそうだ。こうした取り組みには、失敗に終わるものもあれば、成功するものもあるだろう。

 支出額の回復に加え、IDCでは2004年の業界を方向付ける傾向として、以下のトレンドを挙げている。

  • サーバ市場ではコモディティ化が進む。
     いわゆるx86プロセッサ上でWindowsやLinuxを動かすサーバ(IAサーバ)の売上の伸びが続き、その分RISC-Unixサーバが衰退していく。2004年には、x86系サーバ全体の売上が伸び、またLinuxは米国内で販売されるサーバの10%を占めるようになる。このため、とりわけ米Sun Microsystemsでは、従来のRISC製品と、IAサーバ製品とのバランスをとる方法を考え出す必要がある。IDCの予想では、Egeneraなどの小規模メーカーが大躍進する可能性もあるという。

 「2004年には、2007年に起こるマーケットシェアの大規模な変化の下地が作られていくところに注目すべきである」(IDCの予想)

 IDCによると、そのほかのサーバ関連のニュースでは、米IBMが米SCO Group関連の訴訟において、顧客に法的な保障を提供する可能性が高いという。

  • ユーティリティーコンピューティングへの取り組みは、無駄な努力に終わるかもしれない。
     「メーカー各社がコンセプトを売り込み続けても、コンピュータ関連のリソースを一段と効率的に利用するための、サーバの仮想化といった各種テクニックに対する投資がついていかない」(IDCの予想)
  • 海外アウトソーシングは成長。
     海外の労働力によって生み出され、米国に入ってくるIT関連商品やサービスの評価額は、2003年全体の2倍となる160億ドルに達するだろう。米国の大企業がアウトソーシングを継続するだけでなく、インドのサービスプロバイダーもマーケットシェアを拡大することになるだろう。
  • IT企業各社がニッチ市場に対応する。
     大手ITサプライヤーは自社製品の価値を実証するため、特定の業界のニーズに沿うよう自社製品をカスタマイズするようになる。IBMでは既にこれを実践している。
  • RFIDは普及しない。
     在庫コントロール用のRFID電子タグ技術について、「米Wal-Martや米国防総省からの指示だけでは、タグのインフラ、センサ技術、このセンサを利用するための処理手順、そしてデータを理解できるよう加工するアプリケーションの開発などに必要なお金や時間を投資する者はいない。そのことが、年末までには明らかになる」とIDCはいう。
  • Wi-Fiは成長を続ける。
     Wi-Fiホットスポットの数は現在の5万カ所から、年末には8万5000カ所まで増加する。ホットスポットの増加数が多いのは西ヨーロッパ諸国で、ホットスポットの数は8000カ所から2万4000カ所へと増加するだろう。

 一方、企業もワイヤレス化への準備を整え、リモートオフィスにWi-Fiをインストールしていくだろう。

  • 中国や東欧諸国の支出が急増する。
     中国のIT関連の支出は300億ドルに達し、ほかの各国の4倍の割合で増加するだろう。一方、東欧諸国を中心とした10カ国が新たに欧州連合に加盟するため、東ヨーロッパの国々でも支出の急増が見られるだろう。
  • ブロードバンドが、コンピュータと家電製品の融合傾向に拍車をかけるだろう。
     世界中のネット接続された家庭の約40%に相当する1億世帯でブロードバンドアクセスが利用可能になり、これによってPCと家電技術の融合に拍車がかかるだろう。Gensは、「ビデオやMP3オーディオをストリーミングで流すことが、突然理に適ったものになった」と語っている。直販によって、既存メーカーより価格面で優位に立てる米Gatewayと米Dellは、この新しい市場で重要なプレーヤーになる。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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