今年の年末商戦、ネットショッピングが一歩主流に近付く

 ラスベガスにある複数のブティックの依頼で買い付けをするAdelle Cuaronには、買い物に関する十分な心得がある。そんなCuaronが、このホリデーシーズンにするプライベートな買い物には、会計待ちの列にならんだり、値札を見て驚くようなことはない。

 「今年は、何軒もの店を見て回り、大金を使うようなことはできない。だから、オンラインショッピングで安く上げるつもりだ」(Cuaron)

 Cuaronは今年初めてウェブショッピングに予算の大半を割り当てることにしたが、eコマース関連のクレジットカード詐欺のニュースなどを見ると、個人情報が盗まれはしないかと多少心配になるという。だが、それでも「決意は変わらない」という。

 Cuaronは、このホリデーシーズンにオンラインショッピングの新たなファンとなる数百万人の中の1人だ。この新たな顧客たちが、11月から12月にかけて電子商取引の二桁成長を牽引するとみられるている。Cuaronは、ネットでバーゲン品を発掘するというウェブサーファーのトレンドにも乗っている。昨年には、価格を比較して最も安い価格の店を見つけるためのサイトへのトラフィックが、100%以上も増加している。

 主流の消費者がオンラインに進出し、これまでよりも安心してネット上でクレジットカードを使うようになってきているため、電子商取引の売上は上昇を続けている。Jupiter Researchによると、米国の消費者は11月から12月にかけてオンラインショッピングで約168億ドルを支出すると予想されているが、これは前年同期の21%増にあたる。この増加には、今年のオンラインショッピング人口が、1000万人増の6400万人に達したことも寄与している。

 実際、経済の不振やIT業界の不況にもかかわらず、電子商取引はここ数年間着実に売上を伸ばしてきた。試算によると、世界情勢の悪化と失業率の増加から米国消費者の財布の紐が堅かった2001年と2002年にも、ホリデーシーズンのネット上での売上高は平均20%上昇したという。ドットコム企業の倒産件数が減少し、技術が改善されたことで、電子小売業界が安定し、またそれにつれてますます多くの消費者が仮想店舗の利便性と予算節約の魅力に気付いてきている。とりわけ、多くの製品が無料で配送され、税金もかからないことは大きい。

 アナリストの指摘によると、今年のオンラインショッピングには新しいトレンドがいくつか見られるという。その1つは、女性の買い物客が初めて男性を上回った点で。Forrester Researchの報告によれば、オンラインでの買い物客の約52%が女性だという。

 これにより、衣類、美容・健康、宝飾品といった女性にとって魅力的な分野の売上が大きく伸びる可能性がある。Forrester Researchのシニアアナリスト、Carrie Johnsonによると、これらの分野は、書籍やコンピュータのハードウェアといった実績のある他の商品カテゴリーより短期間で成長しそうだという。たとえば、コンピュータハードウェアが13%、書籍が30%しか成長していないのに対し、美容・健康製品の売上は昨年に比べて93%以上増加している。

 次に、オンラインで買い物をする消費者の増加が、Wal-MartやTargetといった小売大手の売上増に役立っている、とアナリストは話す。さらに、実際の店舗も構える小売業者のなかには、消費者がネット上で買った商品を店舗で受け取れるようにしているところも増えている。消費者はこうした買い方を好んでおり、たとえばSearsでは、同社のオンライン顧客の40%が店舗で商品を受け取るという。店舗での受け取りが可能なところはほかにも、Circuit City、Best Buy、そしてスポーツ関連小売業者で今年初めてこのサービスの提供に乗り出したREIなどがある。

 オフラインの小売業者も、クリスマス商戦向けにプロモーションを展開している。たとえばSearsでは、ウェブ店舗の方では実店舗でセールが始まる前日の感謝祭の日からセールを開始している。同社の予想では、このプロモーションにより、Sears.comと、もう1つのオンラインブランドであるLandsend.comでの1日の売上合計額が、初めて500万ドルを突破すると見込んでいる。

 同社は、ネット上での今年度の売上を2002年比40%増と予想している。Searsの広報担当、Bill Mastersonによると、クリスマス商戦の売上もほぼ同レベルで増加する見込みだという。

 「我々は必ず複数の小売チャネルを維持していく。カタログとウェブサイトを、可能な限り店舗と統合する」(Masterson)

 この結果、eBayやAmazonなどのオンライン大手は、自分たちが既存の小売業者と同じように信頼できることを、経験の浅いインターネットユーザーに証明するために、戦わなくてはならなくなっていると、アナリストは話している。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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