「本当の意味でのグループ経営を」:SAP、会計ソリューションにグループ経営支援機能を強化

永井美智子(CNET Japan編集部)2003年11月06日 16時15分

 SAPジャパンは11月6日、同社の会計ソリューションであるmySAP Financialsに新たな機能を追加すると発表した。複数の子会社を持つ企業を対象に、グループ内の経営・財務情報を一元管理する機能を提供する。新機能の導入により経営のスピードを早めるとともに、会計部門のコストを削減できるとしている。

 SAPジャパン バイスプレジデント マーケティング本部長兼ソリューション本部長の玉木一郎氏は今回の新機能について、「日本企業は今までグループ経営といっても連結決算をするだけで精一杯だった。そこに本当の意味でのグループ経営をしていくための余力作りをお手伝いしたい」と狙いを説明する。

 新たに追加された機能は、

  1. グループ企業内の事業進捗状況を連結ベースで把握できるSAP SEM3.5
  2. グループ企業の財務管理を一元化するSAP FSCM2.0
  3. コンプライアンス管理をシステム的に提供するSAP コンプライアンス・マネジメント

 ---の3点。プラットフォームにはNetWeaverを利用しており、いずれも2004年第1四半期の出荷を予定している。

 SAPジャパン ソリューション本部 ファイナンシャルソリューションズの加藤慶一氏によると、SEM(Strategic Enterprise Management)は国内ですでに日立製作所など4社で稼働しているほか、20社以上の企業で導入中という。またFSCM(Financial Supply Chain Management)についても、中外製薬など5社が現在導入を進めているとのことだ。mySAP Financialsの構築コストは1〜3億程度と加藤氏は説明しており、導入には半年から1年ほどかかるという。

SAPジャパン バイスプレジデント マーケティング本部長兼ソリューション本部長の玉木一郎氏

 SAP SEMは企業グループ内の事業計画やシミュレーション、販売計画値と実績値などのデータをデータウェアハウス上で一元管理し、連結ベースで常に確認できるようにする。NetWeaverを利用することで、SAP以外のシステムを利用している子会社のデータなども統合できるという。従来、本社部門はデータの集計作業や連結処理、レポート作成などを手作業で行っているところが多く、「新しい機能によって親会社は膨大な定型作業から解き放たれ、グループ価値を最大化させる戦略的意志決定などに集中できるようになる」(玉木氏)という。

 SAP FSCMはグループ内のファイナンス、金融商品管理、決済業務などを一元化するソリューション。銀行を介してグループ内の取引を行ったり、取引先に対して子会社ごとに決済業務を行う場合に比べ、銀行手数料が最小限で抑えられる。またWeb請求機能が搭載されており、取引先への請求書送付、入金照合などの決済業務をオンライン化できるという。

 SAP コンプライアンス・マネジメントは、米エンロンなどの粉飾決算事件を受けて米国で2002年7月に制定された企業改革法(Sarbanes-Oxley Act.)に対応するもの。匿名で内部通報できるシステムなどを備える。

 今回発表されたmySAP Financialsは米国で上場している企業や上場予定企業を主なターゲットとしているが、「自社のコンプライアンスを重視していると示すことは、市場における自社の存在感を示す上で重要だ」(玉木氏)と広く採用を呼びかけていく考えを示した。導入目標としては2004年末までにSAP SEMが40件、SAP FSCMが15件、SAPコンプライアンス・マネジメントは10件の受注を掲げている。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]