デスクトップ用Linuxの先行きを案ずる個人ユーザー

 名前の知れ渡ったLinuxディストリビュータ2社による動きに対し、オープンソースコミュニティは、コンシューマユーザーがないがしろにされるのではないかと先行きを案じている。

 米国時間3日に、米Red Hatは予想通り、Red Hat Linuxのコンシューマ向け全バージョンのサポートを2004年4月末で打ち切り、ビジネス向けのサポートだけを続けるとの方針を発表。そして4日には、エンタープライズソフトウェア開発元の米Novellが、Linuxディストリビュータの独SuSE Linuxを、2億1000万ドルで買収することに同意したと発表した。

 実業界の目には、この買収は、Linuxが企業内で果たしている役割を確認しただけのものに映る。だが、多くのLinuxファンは、いわばワンツーパンチを喰らった格好で、Red Hat LinuxとSuSE Linuxという最も人気の高い2つのディストリビューションが、Linuxコミュニティから姿を消すのではないかと気を揉んでいる。

 「(米国有数のコンピュータ関連量販店)CompUSAやBest Buyで棚に並んでいるのは、Red HatとSuSEという2つのバージョンのLinuxだけだ」と、カスタムメイドのチップメーカーX-Fab Texasで、LinuxとSunのシステム管理者として勤務するJack Aldersonは語った。Aldersonは、自身が自宅で使っているSuSEのコンシューマ版のサポートを、Novellが打ち切ってしまうのではないかと戦々恐々だ。「Red Hatの発表で、商品棚から同ソフトのパッケージが取り払われ、大衆の視界から消え去った。残ったのはSuSEだけだったが、いまではそれも消えてなくなろうとしている」

 今回の動きで、一般ユーザーがMandrake、Xandros、Lindowsといった小規模の企業や、Debian、Fedora、Gentoo、SlackwareといったLinuxコミュニティのプロジェクトが提供する、Linuxディストリビューションを再び選択する可能性がある。

 Novellは、SuSEの掲げるオープンソースの篝火を今後も運び続ける計画のようだが、同ソフトの低価格バージョンに関して、まだ具体的なコメントは発表していない。

 SuSEのハイエンドサーバ版の小売価格は450ドル以上となっているが、コンシューマ版ながらLinux Serverとしても利用可能なSuSE 9 Professionalはわずか80ドルで売られている。

 カナダのトロント在住で、約10年にわたってLinuxを利用しているCharles Philip Chanは、NovellによるSuSEの買収について、Linuxの正当性をさらに証明するものと捉えている。

 「一方で、今回の動きは良い面もある。Linuxが商業分野に進出しつつあるようにも思えるからだ」と同氏は語り、インターネット上で開発コミュニティが提供しているLinuxディストリビューションがいくつもあり、ユーザーにはそうした選択肢がまだたくさんあると付け加えた。「ほかにもたくさんのLinuxディストリビューションがある」(Chan)

 しかし、Chanは、小売店の棚に並ぶLinuxディストリビューションの数が減ってしまうため、コンシューマ市場の成長は、これまでよりも緩やかなものになると述べた。Red Hat Linuxは今後小売店では手に入らなくなるが、同社は最新のLinux技術を基にしたディストリビューションを作るために、Fedoraというコミュニティプロジェクトの支援をしていくという。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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