新しいLinuxカーネルの登場を待ちわびる米レッドハット

 Linux心臓部のアップデートバージョン登場が近々予定されているが、同オペレーティングシステム(OS)の最有力ベンダーが自社の企業向け製品にこれを組み込むのは、1年以上先になる可能性がある。

 先週米Red Hatからリリースされた、同社最新の企業向け製品であるRed Hat Enterprise Linux 3.0(RHEL 3.0)は、同OSのコアであるLinuxカーネルにバージョン2.4.21を採用している。Red HatのOS開発担当バイスプレジデント、Brian Stevensによると、企業向け製品へのLinuxのバージョン2.6採用を望む顧客は、RHEL 4の登場をあくまで待つ必要があるという。

 Stevensは、2.6カーネルについて、「準備できていないというのが現実だ」と語った。

 Red Hatの顧客はパフォーマンス、セキュリティ、そしてパワフルなマルチプロセッサシステム上での動作に関する改善など、2.6カーネルが実現するはずのメリットのいくつかを待たなくてはならないが、Red Hatではそのギャップを埋めるべく、2.6の機能の一部を現行の2.4カーネルに先行採用している(2.5カーネルは、先行する2.3や次の2.7のように開発目的での使用に限定される)。

 Red Hatは、企業向け製品の新バージョン投入まで12カ月から18カ月の期間をおいているため、Linux 2.6搭載のRHEL 4登場は2005年になる見込みだ。

 Illuminataのアナリスト、Gordon Haffは、「Red Hatから見ると、多少タイミングが悪いかもしれない。やや期間が空きすぎてしまう。2004年に間に合わせるにはリリースサイクルを相当に詰めなくてはならないし、それも2.6の開発自体のスケジュールがこれ以上大幅には遅れないとの前提があってのことだ。おそらく無理ではないだろうか」と語った。

 カーネルはOSの土台で、ネットワークやハードドライブとの通信、複数のプログラムの切り替え、マルチプロセッサマシンが搭載する特定のプロセッサへのタスクの割り当てなど、最も基本的なタスクを処理する。Red Hatや同社最大のライバルである独SuSE LinuxなどのLinuxベンダーが、MicrosoftのWindowsやSun MicrosystemsのSolarisといったUNIXの各種バージョンと競合するためには、カーネルの機能向上が極めて重要だ。

 Linuxのカーネルプログラミングプロジェクトを立ち上げ、これを指揮するLinus Torvaldsは1年前、バージョン2.6は2003年6月にリリースすると語っていた。さらに最近では、バグ修正に専念するため、同バージョンへの新機能の追加を停止していた。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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