とうとうビッグブルーが動いた--米IBM、米SCOを訴える

   米IBMは8月7日(米国時間)、Linuxオペレーティングシステムを巡って続いている法廷闘争に関連して、米SCO Groupを反訴した。

 IBMは、米国時間8月6日遅くにユタ州連邦地方裁判所裁判所へ提出した42ページの訴状の中で、オープンソースのGeneral Public License(GPL)に基づいて、Linuxのバージョンの1つを配付したことのあるSCOには、Linuxソフトウェアが私有物であるとの主張できない、と論じている。IBMはまた、SCOのソフトウェアがIBM保有の4件の特許を侵害しているほか、同社がIBMのUnix製品であるAIXを出荷する権利を取り消したと語ることでIBMの業務を妨害した、とも訴えている。

 IBMは不特定額の損害賠償とSCO製ソフトウェアの出荷差し止めを求めている。今回の反訴は、SCOの修正訴訟に対抗するビッグブルーの回答の一環として、SCOがIBMを訴えたのと同じユタ州連邦地裁に提訴された。

 McDermott, Will & Emeryの弁護士、Brian Fergusonによると、特許権に関する主張を争うには費用がかかるという。

 「IBMの対応は賢明だ。この部分だけでも、流れをIBMのほうへと引き寄せるか、少なくとも同社を対等の立場に引き戻す何らかの早期和解交渉につながるかもしれない」(Ferguson)

 IBMは、SCOのソフトウェアパッケージ4製品が自社の持つ4件の特許を侵害しているという。これらの特許はそれぞれ、データ圧縮技術、グラフィカルなツリー構造のオプションを使ってプログラムメニュー間をナビゲートする方法、電子メッセージの受信を証明する方法、そしてクラスタでリンクされたコンピューティングシステムを監視する方法に関するものとなっている。

 IBMによると、特許を侵害しているSCOのソフトウェアは、UnixWareとOpenServerの両オペレーティングシステム、SCO Managerリモート運用ツール、そしてクラスタで1台のコンピュータが障害を起こしたときに別の1台に処理を引き継がせるReliant HAパッケージだという。

 IBMは反訴の訴状の中で、GPLでソースコードを配付したSCOは、それらのコードを私有物として扱うことを禁じられており、またLinuxユーザーに対価を求めようとする同社の現在の計画は合法ではないと論じている。

 IBMの反訴は、「GPLで製品を配付したことで、GPLの条件に沿って配付されたソースコードに関しては、いかなるものに対してもライセンス料の徴収などの一定の所有権を主張してはいけないし、また実際にそうした主張を行うこと自体も禁じられるという条件に、SCOは同意している。同社はまた、自社がGPLの条件下で配付したいかなるソースコードについても再配付を禁じてはならないとの条件についても、これに同意していることになる」と主張する。

 GPLは、だれでも自由に利用および修正が可能なUnixクローンを作成する計画の一環として、Richard Stallmanが'80年代に考案したライセンス供与条件。この「Gnu's Not Unix(GNU)」プロジェクトは、Linuxの基盤となる法律的および技術的なフレームワークを作り出している。Weil, Gotshal & Mangesの弁護士、Jeffrey D Ostermanによると、GPLに法廷の判断が下ったことはまだないという。

 「SCOは、制限なく機密を公にしてしまう一般大衆にソフトウェアを販売することで、自ら自社の業務機密を台無しにしてしまった、との主張は非常に興味深い」(Osterman)

 対するSCOは、私有するコードを積極的かつ意図的にオープンソースソフトウェアとしてリリースしなくてはならなかったと反論してきている。「それには、自分たちが何を売っているのか分からなかったという立場を取らなくてはならないが、これは見方によっては立証が難しい。普通は自分が何を売っているかは分かっているものだ」(Osterman)

 SCOは、IBMには自社開発のUnixソフトウェア、つまりいわゆる派生製品をLinuxに取り入れる権利がないと主張している。しかしIBMは、AIXのすべてのコードに対してSCOに所有権があるとする同社の主張は「バカげている」と決めつけている。

 SCOは、IBMのAIX出荷許諾を6月に取り消したと言っている。これに対し、IBMは反訴状の中で、AIXのライセンスは取り消し不可能で永続的なものであるとの自社の立場を重ねて主張したが、さらに1995年にこれをSCOの前身に売却するまでUnixの著作権保有者だったNovellも巻き込んで、新たな展開に持ち込んだ。

 IBMの提訴により、SCOがIBMのAIXライセンスを取り消すことはNovellが6月12日に事実上禁じたことが明らかになった。SCOによると、同社がAIXへのライセンスを取り消したのは6月16日だったという。IBMの訴状では、Unixの売却に関連して、NovellにはSCOに対してこのような指示を出す権利が残されているとしている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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