サン・マイクロシステムズは16日、今月1日付けで同社代表取締役社長に就任したDaniel Miller氏による経営方針説明のための記者会見を行った。会見には前社長で現会長の菅原敏明氏も同席。菅原氏によると、はじめは社長の後継者として国内での人選を考えたが、グローバルな販売提携を進めるにあたり必ずしも国内から選ばなくてもよいとの結論に達し、米Sunで好成績をあげていたMiller氏を社長に抜擢したという。日本でのビジネスははじめてとなるMiller氏だが、不景気な米国でも特に厳しい状況下にあったテレコム業界の担当であったため、「厳しさは十分に経験している。日本での新たな挑戦も何とか乗り切ってみせる」と語った。
Miller氏がサンの2004年度基本方針として掲げたのは、リセラーが強い日本において「パートナーシップを進化させること」、「顧客志向を徹底追求すること」、「インフラストラクチャソリューションを具現化し、それを顧客にうまくサービスとして提供していくこと」だ。
リセラーとのパートナーシップについては、Miller氏が「米国と日本とのビジネスの違いのなかでも一番大きい」と感じている分野。同氏が感じたのは、「日本でのパートナーシップは米国よりずっと奥が深く、長期に渡る」ということだ。これまでもサンは各企業とパートナーシップを組んでうまくビジネスを行ってきたが、「これをさらに強化する一方で、サンがエバンジェリストとして情報発信を行っていく」とした。
サン・マイクロシステムズ代表取締役社長、Daniel Miller氏 | |
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第2の方針である顧客志向を追求するためには、「まずわれわれのサービスを顧客にはっきり伝えることが重要」だとMiller氏。エンタープライズ向けのサービスは、往々にしてサービス内容が顧客に伝わりにくい傾向にあるが、「単にテクノロジーを売るだけでなく、サービスを理解してもらったうえでうまく顧客の需要を創造していきたい」と語った。
インフラストラクチャソリューションについては、サンがこれまでターゲットとしてきたデータセンター、データマネジメント、Webサービス、エッジコンピューティングの各市場に対してさらなる問題解決を提案することを目指す。そのため、「サンの一番の資産であるエンジニアが、テクノロジーのみならずビジネスソリューションに対しても顧客に適切なアドバイスができるようさらに訓練していく」とMiller氏はいう。また、エッジコンピューティング分野では、需要が高まっているLinuxベースのIAサーバを提供することで顧客のニーズに対応するという。
Miller氏は、サンが昨年度約20億ドルをR&Dに投資していることを述べ、この投資額を削減する予定はないと語る。「コスト削減は短期的な経営改善の解決法になるかもしれないが、長い目で見た場合、R&Dへの投資は必須」であると同氏は主張し、「われわれはSIerでもリセラーでもないのだから、常に発明をし、イノベーションをもたらし続けなくてはいけない」と語った。サンは今年4月に九州や名古屋に支店を開設しており、「これからも積極的な事業展開を続ける」とMiller氏は述べた。
「サンはライバルに勝つためにビジネスを行っているのではなく、顧客にソリューションを提供するためにビジネスをしている」と、Miller氏は顧客第一主義であることを強調、同席していた菅原氏も「彼にはまず日本の顧客と社員の声を聞けと言ってある。彼はじっくり聞くタイプだから大丈夫だ」と述べた。またMiller氏は最後に、同氏が個人的にもビジネス上でも重要だと感じている「Character(顧客に印象づけるような姿勢)」「Competency(能力)」「Continuity(継続)」の3つの「C」を軸に日本での新たな挑戦に臨むと語った。
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