Googleに追いつけるか?-高等数学の研究を応用するマイクロソフト

 米MicrosoftのTheory Group責任者が明らかにしたところによれば、同社は現在積極的に新しい検索用アルゴリズムの研究に取り組んでいる。準備中の検索エンジンにこの新技術を用い、Googleとの戦いに望むためという。

 オーストラリアのシドニーで開催中の第5回International Congress on Industrial and Applied Mathematics(ICIAM)において、MicrosoftのTheory Groupを率いるJennifer Tour Chayes教授は、Microsoftが現在MSNの検索機能に使用している米Inktomiの技術を、独自技術に置きかえるための、新しい検索アルゴリズムを開発し、この特許を申請中だと語った。

 「米YahooがInktomiを買収してしまったので、Bill Gatesは、Microsoftには独自の検索エンジンが必要だと判断した」とChayes教授は述べ、さらにMicrosoftではすでに、新しい検索エンジンを強化するはずの新たなアルゴリズムを特許申請していると付け加えた。

 Microsoftは先月、MSNBotという新しい検索プログラムを始動させた。MSNBotは、Web上を巡回して、HTMLのリンクや文書のインデックスを作成するものだが、この機能はこれまでInktomiや他のパートナーが担っていた。

 今回発表された検索アルゴリズムの開発は、一般ユーザーおよびビジネスユーザーの双方に向けた新たな検索テクノロジーを開発しようという、数年がかりの計画の第一歩と信じられており、ゆくゆくはMicrosoftの運営する複数のWebサイトや、アプリケーション製品、そしてWindows OSを1つに結びつけることが目標としている。

 さらに、検索の次にキラーアプリケーションになるのは、高度な数学を駆使したフィルタリング機能だと、Chayes教授は述べた。「コンピュータがいろいろなところで使われるようになるにつれて、私たちは行く先々で大量の情報に追い回されるようになっている。そのため、ITがもたらす良い点すべてをうまく利用するには、情報のフィルタリングが必要になるだろう。誰もが、自分に代わって情報にフィルターをかけてくれる秘書を雇うわけにはいかない。だから、それに対処するための理論的な解決策が出てくるだろう」(Chayes教授)。

 ICIAMでChayes教授が行ったある講演の題名は、「Phase Transitions in Combinatorial Optimization」というものだったが、その名が示唆するように、MicrosoftのTheory Groupは、現実離れした研究を行うために設立された。そしてこの研究グループでは、すでに同社の製品開発に直接的に貢献しており、なかでも有名なのはWindows Server 2003とともに出荷されているActive Directoryの新バージョンである。

 「アルゴリズムを原因とするボトルネックが生じて、大規模なネットワークで動かなくなった際に、製品開発チームが私たちに救援を求めてきた。そこで、こちらのチームのLaszlo Lovaszが乗り出し、わずか1日で改良したアルゴリズムを開発し、その問題を解決してしまった」(Chayes教授)

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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