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日本企業のIT投資は適切に行われているか?:ITガバナンスの現状と課題

2003/07/08 16:17
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 7月8日、日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)主催「JUASフォーラム ITガバナンス2003」が都内で開催された。2001年に始まったJUASフォーラムは一貫してITガバナンスの重要性を訴えてきたが、3回目となる今年はITガバナンスの実践に焦点を当てている。

 フォーラムではまず初めに、国際大学グローコム教授の中島洋氏とガートナー ジャパン マネージングディレクターの松原榮一氏が、日本企業のITガバナンスの現状と課題について対談を行った。会場ではJUAS会員企業のCIOやIT部門長30名が投票ボタンを持ち、その場でアンケートを行いながら議論が進められた。

 ITガバナンスとは企業の持つIT資源を最大限に生かして競争力を高め、企業収益を最大化させるための仕組みのこと。松原氏は日本で一般的に行われているのはIT管理であり、ITガバナンスとは異なると指摘する。「ITガバナンスは経営者やシステムを利用する部門が、IT投資に対する目標達成が適切に行われるように確認できるシステムのこと。一方でIT管理は、IT投資の目標達成のためにIT部門内で行われる管理のことであり、主語が違う」(松原氏)

ガートナー ジャパン マネージングディレクター、松原榮一氏(左)と
国際大学グローコム教授、中島洋氏(右)

 会場では各社のITガバナンスの現状について、経営のリーダーシップやIT投資の評価といった観点からアンケートが行われた。中島氏や松原氏によると「参加企業の30社はITガバナンスのレベルが高い企業」という。例えば、情報システムの中期計画が定期的に役員会で承認されている企業は全体の83%に上った。また、ビジネスプロセスからそれを支援する情報システムまでを含むエンタープライズ・アーキテクチャ(EA)について、21%の企業が役員レベルで決定されているという。中島氏は2年前の状況と比べ、「EAの理解が進んでいる」と分析し、「日本の一般的な企業ではもっと割合は少ないだろう」と述べる。

 しかし、アンケートでは様々な課題も明らかになった。情報システムに関して役員レベルで討議する場を設けている企業は47%と半数に満たなかった。また、IT投資規模と開発すべきプロジェクトの優先順位付けについて、役員レベルで決定が行われている企業は44%に過ぎず、情報システム部門が行っている企業が28%、ユーザー部門が17%となった。松原氏は「インフラとアプリケーション開発のどちらを優先すべきかといった問題はユーザー部門では決めにくい」と語り、トップの働きかけが重要との認識を示した。

 運用している情報システムのサービスレベル要件(SLA)をどう決定しているかという質問に対しては、情報システム部門およびユーザー部門が決定していると答えた企業がそれぞれ22%、開発時のプロジェクトチームと答えた企業が11%となった。しかし同時に、サービスレベル要件を明確に定めていないと答えた企業も28%に上った。松原氏は「SLAが70%以上の企業に普及しているとも言える」と肯定的な見方を示したが、「本当はユーザー部門もしくは開発プロジェクトがSLAを定めるべき」と述べた。

 また、一定規模以上の情報システム化プロジェクトについて、稼動後の事後評価を行うことが定められていると答えた企業は38%しかなかった。

 全体的に今回アンケートに参加した企業はITガバナンスがきちんと行われているところが多かったが、松原氏は「IT投資が横ばいの状況で、いかに新たな投資に資金を向けていくかが課題だ」と指摘する。そのために必要なものとして松原氏は、各アプリケーションが合理化・省力化を目的とするか、戦略的な価値創造を目的とするかを分類するためのポートフォリオの作成、新規情報システム化プロジェクトによって作業者のモラルが向上したかといった定性的な効果を評価する仕組みの2つを上げた。ただし、会場のアンケートではどちらも導入している企業はなかった。

 また中島氏は「IT投資の額とそれに対する効果については、今まで全社的な調査しか行われていなかった」と指摘し、部門別の効果測定が今後の課題だと指摘して講演を締めくくった。

JUASフォーラム ITガバナンス2003

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