「ユーティリティーコンピューティング」ブームと距離を置くDell

 米Dell Computerは、しばらくの間いわゆるユーティリティーコンピューティング分野への参入を見送ると、5月28日(米国時間)に同社のある幹部が明らかにした。

 「ユーティリティーコンピューティング」もしくは「オンディマンドコンピューティング」と呼ばれるアイデアには魅力があるものの、散在する各種のサーバやストレージマシンを組み合わせて連動するネットワークをつくり出し、需要の増減に即時あるいは自動的に対応させながらデータを送り出すための技術は、まだ実用化のレベルにはないと、Dellの米国部門でゼネラルマネージャを務めるJoe Marengiが語った。

 「アイデア自体は素晴らしいが、まだ現実的ではない。この構想の実現には、3年か4年もしくはそれ以上かかるだろう」(Marengi)

 ユーティリティーコンピューティングのアイデアの下では、コンピュータの計算能力は、ちょうど電気や水道と同じように供給される。システムダウンの機会を減らし、必要な機器を自動的に供給させたり、機器故障の可能性を予め警告させることで、企業は自社所有のハードウェアやソフトウェアをより効率的に利用できるようになる。IBMとHewlett-Packard(HP)の両社は、大企業に対してこのようなデマンド型コンピューティングを提供する戦略を描き出している。

 Sun Microsystemsにも、N1という名称の同様のサービスがある。しかし同社幹部たちは、時間単位のコンピュータ使用料支払いモデルは、まだ確立されたものではないという。

 一部金融機関では、すでにオンデマンド型コンピューティングシステムを導入しているものの、Dellはこのモデルがより確立されたものになるまでは、サービスとしての提供は行わない予定だ。

 「いつかは現実的なものになるかもしれない。だが、いまこのようなシステムを導入しようと思うなら、そのためのコンサルティングに非常に多くの時間を費やすことになる」とMarengiは説明する。

 同社はこれまで、Intel製CPUのような標準的な部品を組み合わせ、あまりカスタマイズを必要としないサービス体系を利用して、マーケットシェアを確保してきていた。同社は2003年第1四半期だけで、6500台あまりのサーバからなる96のクラスタシステムを、ハイパフォーマンスコンピューティングのや科学研究分野での計算処理用に提供している。

 「Dellはこの分野でダントツのNo.1企業だ」(Marengi)

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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