最終型Athlonプロセッサが登場

 Advanced Micro Devices(AMD)は5月13日、デスクトップPC向けCPUのAthlon XP 3200+を発表した。Athlonは同社復活の原動力となったCPUだが、同製品はAthlonシリーズ最後のプロセッサとなる。

 最新のAthlon XP 3200+では、従来の333MHz/266MHzよりも高速な400MHzのシステムバスを採用し、シリーズ中最高速となるクロック周波数を実現していると、AMDのJohn Crankは説明する。GPU(Graphics Processing Unit)メーカーの中でもNvidiaは、同社チップセットを最新バスで動作可能にするように計画中だ。

 「総じて、最新AthlonプロセッサはIntelの最速プロセッサと互角になった」とCrankは話す。AMDのベンチマークによれば、IntelのPentium4-3GHzを533MHzバスで動作させたものと比べ、最新Athlonシステムは15%ほど高い性能を示したという。だがIntelサイドでは、さらに高い性能を実現する800MHzバスへの移行を視野に入れており、近々800MHzをサポートしたチップセットと、最新バスに対応したPentium4-3.2GHzの発表を予定しているという。

 Crankによれば、今回のAthlon XP 3200+が、AMDが生産する最後のAthlonシリーズとなるかもしれないという。同氏は「ノートPC向けには、AthlonコアのCPUを提供していくかもしれない。だが、デスクトップPC向けについては、現状のAthlon XPのまま90nmプロセスに移行させる計画はない」と説明する。同社の90nmプロセスへの移行は、2004年になるとみられる。

 Athlon XPに代わり、同社ではデスクトップPC向けとしては、Athlon 64に注力するつもりだ。先月の2003年4月に発表されたサーバ向け64bitプロセッサのOpteronに続き、Athlon 64は2003年9月のデビューを予定。現行のAthlon XPは、2004年か2005年初期ごろまで販売が継続される。

Athlonの遺産

 最初のAthlonチップがデビューしたのは1999年のことだった。当時、AMDは四半期ごとに百万ドル単位で売上を減らし、プロセッサ市場での目に見えるシェア低下を経験していた時期だが、その危機を救ったのがAthlonだった。

 Athlonプロセッサは、旧Digital Equipment(DEC)が開発していたバスをベースとしている。このプロセッサの活躍で、同社はIntelとのコンシューマ向け1GHzプロセッサ提供競争で勝ち抜くことに成功した。リリースまでの速さで出し抜くばかりでなく、1GHzプロセッサ提供に手間取り満足に製品が提供できなかったIntelに対し、AMDは製品の供給体制を十分に整えることができた。

 「もしAthlonがなかったら、CPUメーカーとしてのAMDはなかったかもしれない」と、Microprocessor ReportのKevin Krewellはいう。「Athlonの前身であるK6は、AMDをビジネスの場にとどまらせることを可能にした。だが、決してIntelを出し抜くものではなかった」

 それから2年間、同社は過去の生産力問題を克服するかのように、供給確保と製品改良に努めた。結果、Dell Computer以外のすべての主要メーカーで、同社のCPUが採用されることになる。

 だが、2001年にIntelがRambusメモリの問題から戦略を転換すると、今度はGatewayとIBMが、自社のPCラインからAthlonモデルを外すようになった。2002年には、AMDは再び売上減少とシェア低下に見舞われるようになる。

 「いまでも、Athlon存在はAMDの市場での名声や立場を変化させ続けている」とKrewallはいう。

 なおAthlon XP 3200+は、1000個出荷時で464ドルの価格となっている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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