MS、ワイヤレスネットワークのセキュリティに本腰

 Microsoftは米国時間3月31日、Windows XP用アップデートの無償配布を発表した。アップデートはWi-Fi Protected Access(WPA)サポートをWindows XPに追加するもので、ワイヤレスネットワーク接続のセキュリティを強化する。

 WPAは、ワイヤレスネットワークの標準を策定する業界団体、Wi-Fi Allianceの承認を受けており、現在の標準であるWired Equivalent Privacy(WEP)より安全性が高いという。WPAは「ワイヤレス接続中に異なる暗号鍵を生成するため、より強力なセキュリティを提供できる」(Microsoft)。

 最近、企業ではワイヤレスセキュリティに対する関心が高まっている。Microsoftは2002年1月以来、全製品ラインでセキュリティ強化を図っているが、2月にWindows 2000やInternet Explorerブラウザで脆弱性が発見されるなど、依然として課題は多い。

 MicrosoftがWi-Fi対応に乗り出したのは他社に比べて遅く、2001年10月にリリースしたWindows XPからである。それに比べ、例えばApple Computerは、それより約2年前にMac OSでWi-Fiをサポートしている。Microsoftは3月28日に802.11gに対応したWi-Fi製品を今年発売すると発表したが、すでに他社は802.11g製品で好調な売上を得ている。このため、「Microsoftのワイヤレス市場におけるシェアは減少している」と米NPDTechworldのアナリストのStephen Bakerは指摘する。

 アナリストらは、Microsoftが迅速なWPAサポートによってWi-Fi市場における地位を回復する可能性はあるとみている。WPAは、より高度なセキュリティを提供する802.11iが標準に策定されるまでの暫定的な仕様とされており、802.11iに対応した製品は、2004年以降に登場する見込み。

 MicrosoftのWPAアップデートの背景には、企業のワイヤレスネットワークに対する関心の高まりがある。米Jupiter Researchの調査によると、年間売上高が1000万ドル未満の企業で、今後12カ月以内にWi-Fiネットワーク導入を予定している割合は83%にのぼる。年間売上高が1000万ドル以上の企業では、その割合は71%である。

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