活用されていないCRMソフトウェア

 米Gartnerが約700社を対象に実施した調査によると、CRM(顧客関係管理)ソフトウェアのライセンスを購入した企業のうち、42%がインストールをまだ完了していないという。

 ただし、最終的に大量のライセンスを利用するつもりだが、まだインストール作業が終了していないという状態も一部の企業に見受けられる。すべてのライセンスをインストールするには1年以上かかる場合もある。しかし、Gartnerのアナリスト、Esteban Kolskyによると、今回の調査結果は多くのアナリストが最近指摘している傾向と一致する。すなわち、企業が購入したCRMソフトウェアの多くは利用されないまま眠っている。

 Siebel Systems、SAP、Oracle、PeopleSoft、Epiphanyが率いるCRMソフトウェア市場は30億ドル規模。ベンダー各社は、販売やマーケティング、コールセンター業務を合理化するCRMソフトにより、経費削減と顧客ロイヤルティの向上を実現できると謳っているが、その効果を疑問視する報告は今回の調査が初めてではない。

 CRMは90年代後半、ビジネスアプリケーション市場で急伸したが、景気低迷により売上高が落ちてしまった。Gartnerは2003年の売上高を横ばいとみているが、この調査結果から考えても売り上げが伸びることはなさそうだ。「しかし本当の意味で打撃を受けているのは、一度も利用しない技術に数百万ドルも投資した企業だ」(Kolsky)

 CRMソフトウェアが利用されていない理由はさまざまだ。その1つは、ソフトウェア業界のディスカウント戦略にある。ソフトウェアベンダーは大量購入した顧客にディスカウントを提供することで、顧客が当初必要とするよりも多くのライセンスを販売している。企業は、ライセンスをすべて利用しなくとも、ディスカウント価格で購入したため損をしているとは感じない。しかしこれらの企業は、高額なライセンス維持費を計算に入れていないことが多いとKolskyは指摘する。一部のソフトウェア契約では、ソフトウェアを利用しようがしまいが年間の維持費を数年にわたって払い続けなければならない。

 また、新しい技術を採用したり従来の実務方法を変更することに従業員が抵抗を覚えるため、CRMソフトウェアが無駄になる場合も多い。その他の理由としては、IT支出が削減されたため、アプリケーションをインストールするのに必要なコンサルティングサービスを受けられない企業が多いこと、景気悪化で企業が人員を削減したため、単にソフトウェアを利用する従業員が減ったことなどが挙げられる。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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