IT版インドへの道
Gartnerによると、フォーチュン500企業のうち300社以上が、インドのITサービス企業とすでに取引しているという。2004年までには、米国企業の80%以上が海外ITサービスの利用を考えるだろうと、同社は予測する。またその時点では、米国企業の40%以上が何らかの形で海外のIT試験プログラムを完了しているか、海外のコンポーネントで構成するITサービスを利用しているという。
米Forrester Researchは11月のレポートで、IT業務の海外移管について触れている。それによると、海外に移管されたコンピューター関連職は、2000年に2万7171人相当分を記録したが、5年後には47万2632人相当分に増加する。Forresterの研究員は、IT業務に続き、コールセンターサービスやバックオフィスの会計といったサービスも、海外に移管されると予測している。
さらにForresterによると、2015年には合計330万人相当分の雇用と総額1360億ドルの賃金が、米国からインド、ロシア、フィリピンなどの海外に流れるという。
海外への業務移管が始まった要因は低い賃金にある。HPはインドの優秀なプログラマーを年間約2万ドルで雇っている。米国の大手ハイテク企業の従業員と比べると、ごくわずかな金額だ。
Forresterはその他の要因として、低コストの広域帯通信網、標準化されたビジネスアプリケーション、インターネット対応コラボレーションツールの登場などを挙げている。
海外に業務を移管したり海外と国内の業務を併用することで、より柔軟なサービス提供できるという利点もある。これは、顧客の心をつかむだろう。ITサービス企業は、米国とアジアの両方で業務を行えば、24時間体制で顧客をサポートできる。EDSが「太陽を追え(follow the sun)」と呼ぶ体制だ。
米国IT業界が今にも衰退しまうと誰もが思っているわけではない。米カリフォルニア大学デービス校のコンピューター科学の教授、ノーム・マトロフは、プログラミングプロジェクトで重要なことは、顔を向きあわせた対話であると反論する。「大規模なソフトウェア開発を海外に外注することは価値がないこと。多くの米国企業はこのことに気付くことだろう」と言う。
マトロフの見解には一理ある、とGartnerのカラモウジスは同意する。とりわけ、ソフトウェア企業の中核となる製品やアプリケーションの場合はなおさらという。銀行などの特定の業界の場合、開発には豊富な専門知識が必要となるからだ。
しかし、一般的なインド企業は、米国企業から請け負ったITプロジェクトの90%から95%をインド内で処理できると、カラモウジスは言う。今後5年から10年の間に、米国のITサービスの40%から50%が海外に移管されると、同氏は予測する。このことは米国IT労働者の将来に深刻な不安を投げかけることになる。
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