「Warcraft」世界の神話は、ゲームストーリーにおける「ロード・オブ・ザ・リング」のような存在になった。歴史が何千年も続き、世界は並行する次元に広がる。そのすべては、プレーヤーが探索する広大な世界を作り出すために用意されているのだ。
過去10年間で、デジタル配信が小規模な独立系ゲームメーカーの隆盛をもたらし、新しい種類のゲームや、そこで語られるストーリーを生み出す土壌を作ってきた。
「さまざまなゲームのなかで、20年前よりはるかに多くのことが試されるようになっている」。こう語るSchafer氏は現在、自身の独立系ゲームスタジオDouble Fineを経営している。「今まで見たことがないゲームに何かをつぎ込むのは怖いものだが、インディーズ系のゲームは、それを変えるためにいろいろなことをやってきた」(Schafer氏)
Double Fineは、ビデオゲームのクラウドファンディングの基準を打ち立てた。Schafer氏としては1998年の「Grim Fandango」以来初のアドベンチャーゲームとなる「Broken Age」のために、2012年に300万ドル以上を調達したときのことだ。アイデアを形にするにあたって大企業に出資してもらう必要はなく、ゲームができる前に喜んで資金を出してくれるファンがいればいい。そのことに多くの独立系開発者が気付いた。
「技術が発達したおかげで、似たような関心を持つ人と出会えるようになったため、自分たちで物事を進められるようになった」(Schafer氏)
「Gone Home」などのゲームは、莫大な予算をかけた一人称視点アクションゲームで使われる技術を採用し、新しいスタイルのストーリーテリングに応用している。このゲームの開発チームが制作に携わっていたのが、ヒット作「BioShock」シリーズだ。一人称視点シューティングゲームのシリーズだが、大作アクションゲームというカテゴリとしては秀逸なストーリーで知られている。
「Gone Home」のデザイナーであるSteve Gaynor氏は、「最初から、90年代のティーンエイジャーの女の子について物語を作ろうと思ったわけではない」と語る。ゲームのなかで音声日記を発見するなど、ストーリー展開の機能を「BioShock」から採用しており、そうした探索の要素がゲームの中心になっている。アクション、戦闘、反射神経プレイはすべて排除された。その結果、ビデオゲームに「ウォーキングシミュレータ」という新しいジャンルが確立されることになった。
「歩き回って、メモ書きやアイテムを見つけたり、音声を聞いたりでき、ストーリー全体が込められた環境にいて、証拠が残されているとしたら、どんなストーリーがいいだろうか」(Gaynor氏)
「Gone Home」のチームは、ある家族が住む家をゲームの舞台に選び、家族の問題や個人のアイデンティティを探るというストーリーを作った。探索するプレーヤーにとって、深い感情に触れるようなテーマだ。
「この作品は、プレーヤーにあまり干渉せず、体験を見つけ出すのはプレーヤーに任せられるという見本かもしれない。結末を押しつけて、どう考えるべきかを伝えなくても、プレーヤーは実に印象に残る結末を迎えることができる」(Gaynor氏)
エンディングの音楽が流れ、「Gone Home」の主要人物たちの行く末がわかったとき、皆さんは目に涙を浮かべているかもしれない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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