グーグルの対話型アシスタント「Google Assistant」--成功の鍵を握るのは「人間性」

Ben Fox Rubin (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2016年06月06日 07時30分

 Genevieve Bell氏が「Amazon Echo」を自宅に持ち帰ってから最初にやったことの1つは、Echoにタイマーをセットするよう頼むことだった。Echoが安心感を与える穏やかな女性の声で返事をした後、Bell氏は同端末に「ありがとう」と言った。

 Intelで長年、文化人類学者兼コーポレートストラテジストとして働いているBell氏は、「最後にGoogle検索に『ありがとう』と言ったのは、いつだったか」と尋ねた。「発する言葉というものには、どこか人間味がある」(同氏)

 Bell氏の体験は、Googleが独自のデジタルアシスタント(「Google Assistant」という分かりやすい名前が付けられている)開発を目指す新しい取り組みに伴う、可能性と危険性の両方を浮き彫りにしている。同社はGoogle Assistantに、人間と自然な双方向の会話をできる能力を持たせたいと考えている。人と会話するソフトウェア分野の複数の専門家によると、Googleはこの種のテクノロジを提供することによって、ユーザーの生活により深く入り込むことができるという。ただし、この目標を達成すること、特に人間味を持たせることは簡単ではない、と彼らは指摘する。

Google Homeはおしゃべりをしたがっている。
Google Homeはおしゃべりをしたがっている。
提供:Lynn La/CNET

 現在、テクノロジ業界の大手企業の多くがデジタルアシスタントの開発に取り組んでおり、Google Assistantもそれに加わることになる。4月に開催されたFacebookの「F8」カンファレンスで、最高経営責任者(CEO)のMark Zuckerberg氏は、同社が「Facebook Messenger」で利用できる「チャットボット」の開発に取り組んでいることを明かした。このチャットボットは、ユーザーの質問に答えたり、花を注文するのを助けたり、最新ニュースの見出しを表示したりすることができるという。Appleの「Siri」、Microsoftの「Cortana」、Amazonの「Alexa」(Echoに内蔵されている賢いアルゴリズム)も昼夜を問わず人々の質問に答えようとしている。それらのデジタルアシスタントの登場によって、ユーザーはコンピュータでスワイプしたりタップしたりする代わりに、コンピュータに話しかけることが増えている。

 先月の年次開発者会議「Google I/O」で発表されたGoogle Assistantは、まず新しいメッセンジャーアプリ「Allo」とスマートスピーカー「Google Home」に搭載される。Google I/Oで上映された動画では、ある家族が「OK Google」と言っただけで、Google Homeが起動した。父親は自宅の全ての部屋で音楽を再生させ、母親は友達にテキストを送信するよう同端末に頼み、息子はケンタウルス座アルファ星の写真を近くのテレビに映してほしいとGoogle Homeに伝えた。

 会話ロボットが存在する未来は、われわれが考えているより早く訪れるかもしれない、とPullStringの共同創設者兼CEOのOren Jacob氏は語る。PullStringはインタラクティブアプリのほか、おしゃべりな「Hello Barbie」人形のような、子供が話しかけられる玩具の開発も手がける企業だ。Google Assistantは、技術的にはあらゆる質問に答えられる能力を近いうちに身につけるかもしれないが、それを日常的な会話に組み込むことの方が難しいかもしれない。

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