アップルだけじゃない伸び悩むスマホ業界--新興メーカー躍進に見る今後の売れる条件 - (page 3)

新興国でのOPPOの強さ

 OPPOは東南アジア各国の主要都市に店舗を出しており、本国である中国の店舗同様にそろいの制服を着た店員がショーケースに入った自社製品をきちんと説明しながら販売している。店舗に置かれた製品はすべてメーカー保証のある正規販売品だ。つまりOPPOの店で買えば、買った後も安心して使い続けられるのである。

 ハイエンドモデルは割高と感じられる価格だろうが、それでもiPhoneに比べれば十分に安い。金属ボディの製品の質感はiPhoneとは異なり、人によってはOPPOのモデルのほうが高級感を感じるかもしれない。このように実店舗で実製品に触れる機会を増やしていった結果、「iPhoneが欲しいけど買えないからOPPOを買う」のではなく、「OPPOを持つとオシャレだからOPPOを買う」──そう考える若い消費者を東南アジアで増やしていったのだ。


ミヤンマーのOPPO専門店。店内は若い客層で賑わっている

 OPPOの東南アジアでの人気を見てみると、インドネシアでは2014年に197万台のスマートフォンを販売し、これは157万台を売ったLenovoを抜き、中国メーカーとしてはダントツのトップだった。

 ちなみに同年のインドネシアでのiPhoneの販売台数は32万台。iPhoneは値段が高すぎるという理由もあるが、値段だけで売れ行きが左右されるならOPPOよりも低価格品が多いLenovoのほうが売れているはずだ。つまりOPPOが売れている理由は「価格」ではないのである。インドネシアでは今、OPPOは3カ月ごとに新製品を発売し、毎月の販売台数はコンスタントに20万台を超えている。

 数年前ならば誰もがこぞって各メーカーの最上位モデルを購入していた。中低位クラスの製品は、動作が緩慢だったりカメラ画質が悪かったりするなど、常用には満足できない品質だったからだ。しかし今の時代のハイエンドモデルは多くの消費者にとってオーバースペックになりつつある。高価格・高性能なフラッグシップモデルではなく、価格が手ごろで質感の高い「スーパー・ミッド・ハイレンジ」とも呼べる製品でも十分使い物になり、しかも品質も十分高い。

 OPPOの上位モデルはまさにそのクラスの製品が多く、その下に低価格モデルを展開している。ハイエンドだけのApple、低価格品が多いXiaomiとOPPOとの大きな違いがここにあるのだ。


SamsungはGalaxy AシリーズをSシリーズよりも推す動きが見られる

 スマートフォンでトップのSamsungも実は今、各国でフラッグシップ「Galaxy Sシリーズ」に加え、金属ボディーでスペックを抑えて価格に値ごろ感を出した「Galaxy Aシリーズ」の販売を強化している。同社は樹脂ボディーでより低価格な「Galaxy Eシリーズ」も販売しているが、広告展開が目立っているのはAシリーズだ。

 「日常利用に十分なスペック」「ちょっと頑張れば手が届く」。そんな製品は日本でもSIMフリースマートフォンとして種類が増えている。だがスマートフォンがIT製品から日用品になった今、消費者の興味を集めるには「持つことに喜びを感じられる、モノとして満足できる仕上がり」も求められる。これを満たす製品はiPhoneかもしれないが、通信費を含めた実勢価格は今となってはかなり高い。

 OPPOはこの3つのデマンドをバランスよく組み合わせた製品を定期的に投入し、しかもオフラインとオンライン両方の販路で消費者に接してきたからこそ大躍進を遂げたのだ。2016年も販売国を広げ製品数を増やしていけば、いずれは世界シェア上位に位置するメーカーに化けるかもしれない。

 iPhoneは今後販売数を減らすかもしれないが、人気が落ちることはないだろう。だが販売数の面でOPPOがiPhoneの地位を脅かす存在になる時代が来る可能性もあるかもしれない。OPPOは今年どんな製品を出してくるのか、その動きに注目したい。

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