しかし、アーティストにとっては素晴らしいタブレットと言える。実際にはこの点こそがiPad Pro最大の強みなのかもしれない。大きなキャンバスはグラフィックス作業に適しており、Apple Pencilはこれ以上ないというくらいの入力ツールだ。
アーティスト以外の人にとっては、(他のすべてのiPadと同様に)さまざまな制限がある。だが、Appleがその気になって、アプリと「iOS」を対応させれば、Macに代わるデバイスになることも可能だろう。ハードウェアは優秀かつ高速で、スクリーンも宣伝どおりの素晴らしさだ。しかし、サポートされるアプリと入力機能は、iPad Proの性能を完全に引き出せる水準にはまだ達していない。筆者はそうなることを願っている。この「プロ」向けのiPadがさらに飛躍するためには、柔軟性の向上とカスタマイズされたソフトウェアの拡充が必要だからだ。iPad Proは発展途上であり、今後いくつかの新ツールと、今よりはるかに多くのアプリを使えるようになる可能性がある。
どんな人がiPad Proを欲しくなるかは、すぐにでも挙げることができる。絵を描く人や画像を加工する人すべてだ。そのキラーアプリは標準で同梱されてさえいない。新しいスタイラスApple Pencilは99ドルで別売りだ。iPad Pro専用として設計されたスタイラスであり、筆者がこれまでに使用した他のどんなスタイラスをも圧倒する仕上がりである。Microsoftの「Surface Pen」よりも上だ。高速かつ正確で、筆圧を感知し、快適に使える。サポート対象アプリでの使い心地は本当に素晴らしい。
プロのアーティストであるMarc Mendellは、すぐにApple Pencilを気に入った。「自分のために作られたようなスタイラスだ。目まいがしてくるほど愛おしい」。Mendellはこのように語る。「極めて正確で、絵を描く動作への反応も優れている」が、静電容量式の「53 Pencil」のもっと幅広でブラシのような質感が恋しくもなったという。53 Pencilは数年前に発売されたスタイラスで、53が提供する「Paper」アプリと連携するように設計されている。それでもMendellは、道具として使う場合はApple Pencilの方が優れていると感じた。「付加的な意味で喜んで使うだろう」(Mendell)
Apple Pencilの良さは、筆者のようにアーティストでない人でも理解できる。使用感は普通のペンと変わらない。実際に手書きしたときも、普通のペンのように感じた。もっと柔らかい静電容量式スタイラスをiPadで試したことのある人もいると思うが、そうしたスタイラスよりはるかに正確に描ける。どちらかというと、サムスンのスマートフォンとタブレット向けのスタイラス「S-Pen」やMicrosoftのSurface Penに近い。
魔法が起こるのは、先端を傾けて角度を付けたときだ。本物の鉛筆のように、濃淡の効果を作り出すことができる。少しでも傾けると、アプリの機能に応じて、特別な効果が作り出される。圧力感知は、慣れるのに時間がかかるものの、筆圧を細かく調整することができる。この2つの機能により、テクノロジ製品というよりむしろ物理的な美術用具のように感じられる。「時間はかかったが、私が緩衝装置と呼んでいたもの、つまりタブレットに触れたときのペン先の反応に慣れることができた」とMendellは述べる。「反応が優れており、筆圧を正確に認識する」(Mendell)
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