グーグルはその魔法を失ったのか--ソーシャル分野への注力が生んだ弊害 - (page 2)

Ben Parr (Special to CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2012年03月22日 07時30分

 ただし、同社にとって最大の悩みの種はメディアではない。先週、Googleの元エンジニアであるJames Whittaker氏は、かつての雇い主を激しく非難する容赦のないブログ記事を投稿した。

 「私が情熱を注いでいたGoogleは、従業員による革新を推し進めるテクノロジ企業だった。私が去ったGoogleは、会社が命じた1つのことにのみ関心を向ける広告企業だった」(Whittaker氏)

 Whittaker氏はさらに、ソーシャル分野でFacebookと争うためのGoogleの取り組みも攻撃した。同氏のブログ投稿によると、Googleは、共有が壊れており、その修復は同社にかかっていると主張していたという。Whittaker氏は、「結果的に、共有は壊れていなかった。共有は正常で、Googleがそこに含まれていなかっただけのことだ」と述べた。

 Whittaker氏の現在の勤め先がMicrosoftであることは、心にとどめておく必要があるだろう。これは、筆者が何度かの検索で見つけたGoogle+の投稿から得た情報だ。それはまるで、筆者がスキャンダル情報を掘り起こそうとしているのをGoogleが知っているかのようだった。

 筆者がGoogleに対して称賛と失望を同時に感じている理由はここにある。Googleには、Google+を開発してソーシャル分野に乗り出す以外の選択肢はなかった。ソーシャルの覇権争いをFacebookに譲って、徐々に世間から忘れ去られていくわけにはいかなかった。たとえ勝てる見込みがないとしても、反撃するしかなかった。Googleの闘争心は称賛に値する。

 しかし、Google+によってGoogleの体験が向上したとはとても言えない。確かに「Gmail」や「Google Maps」からの共有機能は便利だが、単純に、筆者の友人はGoogle+を使っていない。彼らが利用しているのはFacebookだ。そして、Search plus Your Worldについてはまったく評価できない。同機能によって、検索結果の関連性と有用性が低下したからだ。全体的なユーザー体験はひどいものである。

 リーダーを替えて経営陣を再編すると、従業員は動揺し、退職者が続出する。多くの場合、それは企業を一新するため、または、Googleのケースでは停滞を防ぐために必要な犠牲だ。そして、筆者が話を聞いたGoogleの従業員は概して、Page氏がCEOに復帰したことを喜んでいる。同氏の復帰によって、ソーシャルネットワーキング現象に対するGoogleの行動を遅れさせていた不要なぜい肉がそぎ落とされた。

 とはいえ、Gmailや「Google Chrome」「Google News」「Google Translate」「Google Docs」を作り出してきたGoogleの魔法は、Google+という空洞の中に消えてしまったように感じられる。GoogleがFacebookの成功を追いかけることに躍起になっているのは残念だ。ウェブの使い方を実際に変えてしまうより大胆なイノベーションを開発、提供することにリソースを費やす方が有意義だろうに。

 Googleを世界で最も偉大な企業の1つにしたのは、その魔法である。それがなければ、Googleは弱体化していく帝国を守ろうとする退屈な企業に過ぎない。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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