東芝がCESで発表した新映像エンジン「CEVO」とは?

 東芝は、2011 International CESにおいて、新映像エンジン「CEVO」を発表した。

 CEVOは、「CELL Evolution」を語源とする。2009年12月に発売されたCELL REGZAに搭載した「CELL REGZAエンジン」のDNAを受け継いだ新たな映像エンジンと定義されており、今後の東芝の薄型テレビ事業における大きな差異化ポイントになるものだ。

本村裕史氏 東芝ビジュアルプロダクツ社映像マーケティング事業部の本村裕史氏

 東芝ビジュアルプロダクツ社映像マーケティング事業部の本村裕史氏は、「東芝が持つ技術の粋を集め、最高といえるプロセッサを開発した。それがCEVOになる」とする一方で、「CEVOは、新たな世代へと進化したプロセッサ。だが、ハードウェアとしての技術的なエボリューションよりも、機能、画質という点でのエボリューションが、この新エンジンにおける重要なポイントである」とする。水平分業型のテレビ事業モデルを構築する東芝にとって、最大の差異化は半導体技術。それを生かした展開を強調する。

 CEVOには、4つの進化のポイントがある。

 ひとつは、高画質である。CELL REGZAエンジンで実現した高画質システムによる精細感、階調表現を大幅に向上。これにより、2Dおよび3D画質のいずれにおいても画質向上に寄与するという。最近の東芝は3Dへの注力が目立つが、今回の新エンジンでは2Dにおける画質向上にも強く言及している。2Dにおける4K2K(4000×2000ピクセル相当)の高精細表示、超解像技術は、CEVOエンジンによって実現されることになる。

 もちろん3Dにおいても、CEVOエンジンは威力を発揮する。CESの東芝ブースで展示されていた裸眼3Dテレビも、CEVOエンジンによって高画質を実現するものだった。

 CEVOの2つめの特長は、ネットワークへの対応を強化したことだ。東芝では、「REGZA Appsコネクト」を通じて、REGZAをプラットフォームとするアプリケーション配信を計画しているが、2011年に発売する製品では、同機能の対応機種を一気に拡大する構えだ。こうしたネットワーク対応を強化する点でも、CEVOエンジンは重要な役割を果たす。

 そして、3つめの要素はコンパクト化。さらに、4つめの要素は環境品質ということになる。高集積化を図ることで、CELL REGZAエンジンに比べて小型化。これにより薄型一体型デザインを実現できる一方、業界トップクラスとうたう低消費電力化により、ミッドレンジモデルへの対応も可能とする。

 本村氏は「2011年に発売する日本向けのテレビにも、新エンジン(CEVO)を搭載することになる。これまでは、上位モデルでしか体験できなかった高画質が、ミッドレンジクラスでも実現可能になる。CELLの体験を購入しやすい価格で提供していきたい」と語る。

 このように東芝は、2011年のテレビ事業戦略の中核に、CEVOエンジンの搭載を据え、高画質化、ネットワーク強化を差異化の柱にする。そして、詳細は明らかにされていないものの「特に日本市場向けには、録画機能に関しても、新たなテレビ視聴を実現するための大きな進化を計画している」とする。

 2011年7月以降のアナログ停波後には、日本でのテレビ需要が現在よりもさらに低下することが予想される。だが、東芝は引き続き製品ラインアップの拡充と、商品力の強化を図ることで、国内でのシェア拡大につなげたい」とする。6半期連続でテレビ事業の黒字化を続けている東芝。他社が赤字に苦しむのを尻目に、CEVOによって、次のステップへと踏み出すことになる。

CEVOは3Dや2Dによる画質向上、ネットワーク対応などで威力を発揮する CEVOは3Dや2Dによる画質向上、ネットワーク対応などで威力を発揮する

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