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IPサイマルラジオ「radiko.jp」が示すラジオ業界の課題 - (page 2)

土屋夏彦 2010/03/19 15:00

 2011年7月24日にテレビが地上波デジタル放送に移行した後も、地アナラジオは残る。地デジラジオも現在は実用化試験という扱いであり、現行のフォーマットでの放送は2011年7月に終了することが決まっている。しかし、その後の予定については未定で、地アナラジオを地デジラジオでサイマル配信して流すことは今のところ考えられていない。

 つまりラジオ局は容赦なく2011年7月から地アナラジオと予定が決まっていない地デジラジオの両方を維持させなくてはならなくなるのだ。そこで考えられたことは、(1)地アナラジオについては現状の音質のままでもいいので、聴取障害を極力除けるインターネットとの共存放送とする(2)地デジラジオは専門音楽や文字情報などをともなった専門放送にする――というすみ分けである。総合的なラジオ放送である地アナラジオのデジタル化を国に支援してもらえないなら自力でやるしかないという判断だ。

 しかしradikoもあくまで試験運用。視聴エリアでも課題が残る。たとえばTBSラジオ、文化放送、ニッポン放送は地アナラジオとほぼ同じ地域で聴取が可能だ。しかしTOKYO FMとJ-WAVEは、本来認可エリアが東京に限定されているものの、関東圏のradikoサービス提供エリアすべてで聴取できてしまう。またその一方で、全国で聴取できるラジオNIKKEIはネットではエリアが制限されることになる。こういった“矛盾”も今後解消していく必要がある。

 radikoのサービス開始はある意味、明確なラジオ政策を示してもらえないラジオ各局の“メディア一揆”とも言える動きなのだ。まだまだ問題は残っているが、さまざまな嗜好を持つ聴取者を相手に、スピードを持って情報を届けられる地上ラジオの総合放送については絶対なくしてはならないと筆者は考えている。受信するプラットフォームは変われども、没入性が高い音声放送は、人にやさしい情報メディアであることには変わりはない。

筆者略歴
土屋夏彦
ニッポン放送でディレクター、プロデューサーを務めた後、ソニーコミュニケーションネットワーク(現ソネットエンタテインメント)に入社。ラジオに22年、ネットに8年の計30年間ソーシャルメディア作りに携わるメディアプロデューサー

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