「優秀で、いい奴が多い」--Googleカルチャーとエンジニアの日常 - (page 2)

鳴海淳義(編集部)2008年06月13日 07時00分

Googleの開発体制とは

 Googleは世界中にオフィス、開発組織を抱えるが、すべてのオフィスの立場は対等である。マウンテンビューが偉いということもない。

 Googleという世界規模のエンジニアリングチームに、自分が最も参加しやすいオフィスからアクセスする、というイメージだ。そのため複数のオフィスにプロジェクトメンバーが分散している。

 ここで問題となるのはコミュニケーションだが、Googleではメール、チャット、ビデオ、電話、出張、Wiki、Docs&Spreadsheets、ブログなど、あらゆるコミュニケーションツールを使って対処していく。それでも最大の課題は時差で、これはまだ解決されていないという。

 Googleが抱えるプロジェクトは、カーネル、コンパイラ、ツール、ミドルウェア、フレームワーク、アプリケーション、UIなど非常に多岐に渡るが、これらはすべてボトムアップで生まれたアイデアを元にしているという。

 アイデアがひらめいたら、まずは通常業務以外の作業に20%の時間を割けるという社内制度「20%ルール」を用いて個人プロジェクトとして開始する。それが社内的に認められたらメインプロジェクトとして始動することになる。

 こうしたプロジェクトの開発は少人数で行う。チームメンバーの出入りはオープンで、「自分の仕事以外にあれもやりたい」と申し出れば、受け入れられることもあるという。

 ソフトウェアエンジニアの仕事は、「サービス開発に関わるすべて」となる。アイデアからデザイン、コーディング、テスト/デバッグ、評価/分析、保守/改良などだ。“必要な文書はしっかり作り、不要な文書は作らない”“百文書は一デモに如かず”という格言めいたモットーを持って開発に取り組んでいるそうだ。

開発以外の仕事もある

 ソフトウェアエンジニアは基本的に開発に集中するが、3つだけ例外的に開発以外の仕事をすることがある。その1つが採用活動だ。

 以前、インタビュー記事「グーグルジャパンの文化と人材事情」でも紹介したことがあったが、Googleのエンジニアは、社員の紹介を通して採用される率が非常に高いという。

 優秀な人材を確保するためには、エンジニアの協力が必要となる。よくあるのが、面接に参加して、コンピュータサイエンスの基礎知識、ホワイトボードを使ったコーディングなどをチェックしたり、そしてGoogleの社風に合うかどうかを見極めたりすることだ。

 こういった採用活動には時間をとられるというデメリットもあるが、Googleで一緒に働きたいと思える人に入社してもらえる、そして面接を通して自分の勉強にもなるというメリットもあると、藤島氏は言う。

 開発以外の仕事、2つ目は業績評価だ。Googleでは四半期ごとに、個人、チーム、全社など様々なレベルにおいて目標設定と評価を行う。ユニークなのは、一緒に仕事をした人の業績を、同じチームのエンジニア、他部門の人、マネージャーなどが相互に評価し合う点だ。

 社員相互の信頼関係が問われる制度だが、Googleではうまくいっているという。一緒に働いているだけにお互いの仕事ぶりをよく知った上で評価できるので、より正確な結果が出るほか、いわゆる「マネージャー受け」するような目立つ仕事だけではなく、地味な仕事を担当する人も正当な評価を得られるというメリットがあるという。

 そして3つめの仕事は“遊ぶ”ことだ。冒頭で紹介した9つのキーワードの中に「Party」というものがあったように、Googleには遊びと仕事を両立する社風がある。

 年に数回ほど、チームビルディングという名目でオフィスを離れて、皆で遊びに行っているそうだ。これまでにラフティング、カートレース、うどん打ちなどの催しが開催されてきた。

 また、クラブ活動も盛んで、フットサル、マリオカート、ジャグリング、ラーメン部、カメラ部などがある。なかでもマリオカート部は、サイボウズとの対外試合にも勝利するなど、かなりの腕前らしい。そのときの様子はYouTubeにもアップロードされている

 続いて、Googleのエンジニアの日常を、タイムスケジュールを見ながら紹介する。

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