ほかにも、無料で利用できる音楽サービスには以下のようなものがある。
Ruckus Networkは、大手レコード会社のすべてとライセンス契約を結んだ初めての広告付き音楽サービスだ。「Ruckus」がレコード業界に受け入れられた背景には、このサービスの利用者が学生に限定されていたことがある。学生世代のユーザーの間では、PtoPサイトでの音楽ファイル交換が特に盛んだ。Ruckusのサービスは1000以上の大学で利用でき、Imeemと違って、ユーザーはダウンロードした音楽を複数のデジタル音楽プレーヤー(「iPod」は除く)に転送できる。
Ruckusのサービスでも音楽をCDに焼くことはできず、卒業後もサービスを利用し続けたいユーザーは利用料を払う必要がある。
SpiralFrogは、かつては無料音楽配信の象徴ともいうべき存在だった。同社は2006年8月、PtoPユーザーにファイル共有をやめさせることを約束して、マスコミを大いに賑わせた。だがその後、ウェブサイトの立ち上げは遅れ、主要経営陣の多くが離脱し、マネージャーたちが借金をしなければならないほど苦しい財務状況に置かれている。
SpiralFrogは、2007年9月に終了した四半期に、2万400ドルの売り上げに対し340万ドルの損失を出した。現時点でSpiralFrogにとってよいニュースがあるとすれば、この報告を行ったのが事業を開始してまだ1カ月もたっていない時だったことだ。悪いニュースは、SpiralFrogには負債があり、大手レコード会社と新たなライセンス契約をしたくとも、使える資金に限りがあるということだ。
SpiralFrogの関係者は、サービスの利用者数は増加し続けており、95万人のユニークビジターがいると述べた。
Qtraxもまた、立ち上げに苦労している会社だ。The New York Times紙によると、Qtraxは2007年秋にサービス開始の予定だったが、いまだにデビューを果たせずにいる。2008年2月には準備が整うだろう、というのがもっぱらの噂だ。Qtraxのサービスは、Gnutellaのファイル共有ネットワークをスキャンすることでPtoPシステムのように機能する。ただ、Qtraxが利用許可を得ている楽曲ファイルだけが表示されるところが、一般的なPtoPシステムとは違う。楽曲の検索結果には、関連性のある広告も一緒に表示される。
補足しておくと、NapsterやRealNetworksの音楽サービス「Rhapsody」も無料の音楽をユーザーに提供しているが、曲数が限られ、さほど大きな話題にもなっていない。また、Yahooの最高経営責任者(CEO)Jerry Yang氏は2007年10月、同社も広告付き音楽サービスへの進出を計画していることを明らかにしている。
Yang氏は、Yahooの2007年第3四半期決算発表の場で、「われわれは広告付き音楽を検討しているため、サブスクリプション型音楽には従来ほど重きを置かなくなっている」と述べた。
無料音楽の分野で成功できるかどうかは、無料化が音楽の価値を損なわうものではないと、レコード会社を説得できるかどうかにかかっているのかもしれない。GartnerのMcGuire氏とFrank氏は、曲数限定の広告付き無料音楽と、ダウンロードごとに料金を支払う方式、2つのモデルを組み合わせたアプローチを推奨している。
McGuire氏とFrank氏はレポートの中で、「芸術作品としての価値を損なわず、広告配信から相応の売上収入を得られる、そんな素晴らしい媒体があるだろうか?」と問いかけ、こう結んだ。「もちろんある。そして、そうしたシステムは、iTunesなどが提供するような楽曲ごとに支払うモデルと共存する必要がある」
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」