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仮想世界の黎明期--虎視眈々とチャンス狙う国内サービス事業者たち
2006年から2007年にかけ、過剰とも言える注目を集めた仮想世界サービス「Second Life」。
日本語版が提供される前から広告代理店やメーカーがプロモーションの場として同サービスを利用し、また、数多くの参入支援事業者が登場した。しかし、正式に日本語対応を実施した2007年7月以降も、世間的な知名度や国内での人気については疑問の声があがることが少なくない。
その一方では日本独自の仮想世界サービスが発表され、2007年末から2008年にかけてサービスを開始しようとしているところでもある。ここではSecond Lifeの現状を振り返るとともに、国内プレーヤーの動向にスポットを当て、2008年以降に本格化するであろう仮想世界サービスの動向を占ってみたい。
過剰すぎた? Second Lifeへの期待
2007年12月に5000万ユーザー、2008年12月には2.4億ユーザー--これはみずほコーポレート銀行が2007年5月に発表したレポートにあるSecond Lifeのユーザー数に関する試算である。しかし実際のところ、2007年12月時点でのユーザー数は1200万ユーザーに満たない。
この現状についてみずほコーポレート銀行では、(1)PCスペックや操作性、必要なITスキルが比較的高いといった「利用時のハードルの高さ」、(2)オンラインゲームと異なり、サービス自体の目的が存在しないという「利用方法の見いだしにくさ」、(3)仮想通貨換金の安全性や著作権侵害への対応といった「安心・安全性の不十分さ」、(4)ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)をはじめとした「ほかのコミュニケーションサービスとの競合」、(5)「ほかのインターネットメディアとの連携性の不十分さ」--の5点を原因と分析する。これらが重なった結果ユーザーの伸びが鈍化し、それがさらに企業の進出も阻害したのだという。
また、Second Lifeでは1つの島(SIM)あたり数十人程度の同時ログインしかできないため、「どこに行ってもあまり人が居ない」という仕様上の問題もある。
では、Second Lifeは本当に「終わった」のだろうか? 野村総合研究所(NRI)情報技術本部技術調査部主任研究員の亀津敦氏は、短期的なスパンでは過剰なブームが収束したとする一方で、長期的なスパンで見ればSecond Lifeを含めたさまざまな仮想世界サービスが登場すると分析している。
リンデンドルという換金可能な仮想通貨を流通させることで仮想世界内に経済を持ち込み、投資家やユーザーからさまざまな期待を寄せたSecond Lifeだが、前述のとおりさまざまな原因からその人気は冷めつつある。しかし今後まったくサービスが利用されしなくなる、という訳ではなく、以前より緩やかな伸びながら徐々に認知、利用が進んでいくのではないかと亀津氏は見解を示す。
亀津氏は、2007年から2008年を「仮想世界サービスの黎明期」と説明する。Second Lifeの利用には高いPCスペックも求められるが、家庭内でのPC購入サイクルは3〜4年程度。万人が仮想世界サービスを満足に利用できるPC環境を手に入れるためには、あと数年が必要になる。また、企業が仮想世界内でのマーケティング手法を研究し、さらに仮想世界サービスに関する法制度などに国が着手するというステップを踏んだ上で、2009〜2010年には、特定の目的のためにさまざまな仮想世界サービスが登場する「マルチバース」の時代が到来するというのだ。また、マルチバースの時代に向けては、たとえばアバターやIDの統合といったオープンなプラットフォームを形成することが必要という見方を示す。
その一方で、亀津氏をはじめとして「仮想世界サービスへの過度な期待をしてはいけない」と分析する識者も少なくない。結局のところ仮想世界サービスは、ウェブブラウザや電子メール、そしてインスタントメッセンジャーといったさまざまなコミュニケーションツールと併用されるものになっていくというものであり、インターネットに取って代わるものではないという見識が多い。
次々にベールを脱ぐ国産仮想世界サービス
Second Lifeの登場後、国内でもいくつかの仮想世界サービスが発表されている。トランスコスモスと産経新聞社、フロム・ソフトウェアが設立したココアは12月16日、仮想世界サービス「meet-me」のアルファ版サービスを開始した。
東京を再現した「meet-me」
meet-meはインクリメントPが提供カーナビの地図データをもとに東京を再現した仮想世界サービスだ。前項でSecond Lifeが普及しなかった原因として挙げられた「利用方法の見いだしにくさ」を解決するために、仮想世界内でイベントやゲーム、アトラクションを用意することで、ユーザーの活性化を狙う。また、1つのSIMに数十人までしかログインできないというSecond Lifeに対して、ユーザーを管理するサーバと、仮想世界を管理するサーバを分けることで、理論上は1000人以上の同時接続も可能だという。
meet-meでは月額課金やアイテム課金、仮想世界内広告を予定しており、2008年春には土地の販売にも着手していく考え。仮想通貨の導入ではなく、課金のタイミングで得られるポイントを使って、仮想世界内で提供されるゲームやアトラクションを利用することを予定している。
また、BtoB向けに仮想世界を提供するのが3Diの「Jin-sei」だ。Jin-seiはLinden Labが提供するオープンソースのビューアーと、オープンソースのサーバソフト「Open SIM」をベースにしたプラットフォームだ。現在は、ミクシィが海外在住大学生の新卒採用のために提供している仮想世界サービスで利用されている。
「Jin-sei」を採用したミクシィの仮想世界サービス
同社では現在、導入に対して「2桁以上の引き合いがある」と説明する。BtoB向けのサービス提供ということで、ビデオ会議システムの代用、社内コミュニケーションツールとしてのニーズも非常に高く、引き合い全体の半分を占めるという。
3Diではそのほか、親会社であるngi group が出資する中国発の仮想世界サービス「HiPiHi」との技術交流も進めている。HiPiHiは現在中国でクローズドベータ版のサービスを提供しており、2008年初頭にも正式サービスを開始する予定だ。中国でのサービスが軌道に乗れば、日本でのサービス提供も進めていくとしている。
「東京0区」の構想を打ち立てるSBI RoboとSBI Beyondは、2008年初旬にもGoogleマップを利用した2Dのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を提供する。また、2008年中には仮想世界サービス提供者と提携し、既存のサービスをベースに、STUDIO 4℃や有名クリエイターがキャラクターや都市をデザインした仮想世界サービスを提供していく予定だ。
東京0区の最終的な目標は「IP上にお金を乗せる」というところにある。郵便から電子メール、電話からIP電話など、インターネットを利用したことでコストが下がったものが多い一方で、円からドルへの換金といった貨幣のコストだけはインターネットによっても解決できていないことから、同社グループとも協力して、ネットワーク上で新しい貨幣価値を創造していきたいと説明する。その第一歩として、2008年初頭にも仮想通貨との連携を想定したクレジットカード「SBIゼロカード」を発行する。
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