PCゲーム業界の行く末を楽観視するエグゼクティブたち--その根拠は? - (page 2)

文:Tom Krazit(CNET News.com) 翻訳校正:アークコミュニケーションズ、大久保崇子、國分真人2007年11月29日 16時00分

 問題の1つとして考えられるのは、昨今のゲームで最適なユーザーエクスペリエンスを実現するためには、非常に高価なシステムが必要になることだ。Nvidiaでコンテンツリレーションズ担当バイスプレジデントを務めるRoy Taylor氏は、今日の市場に出回っている最高レベルのPCを使っても、Crysisを最大の設定環境でプレーすることは不可能だと指摘する。たとえばCrysis購入者の半数が、Crysisをプレーするだけの目的でシステムをアップグレードしたという。これはNvidiaやIntelのようなハードウェアベンダーにとっては朗報だが、平均的な消費者の懐にはなんとも厳しい事態だ。

 ゲーム機はPCよりも格段に低いコストで優れたゲームエクスペリエンスを実現する。この点については、熱心なPCゲーマーたちで埋め尽くされたイベント参加者もうなずくほかなかった。これらの参加者の約3分の2が、Xbox 360とPLAYSTATION 3のうち少なくともどちらか1つを所有しているという。PCゲーム市場がCrysisなどの1人称シューティング(First Person Shooter:FPS)をはじめとしたイマーシブ(没入型)なゲームにますます偏向する一方で、ゲーム機がむしろソーシャル(対人的)なエクスペリエンスとしてとらえられている背景にはこういった事情があるとTaylor氏は分析する。

 PC業界が今まさに取り組むべきは、ゲームプラットフォームとしてのPCにカジュアルゲーマーの関心を再び集めることだ。Intelでゲーミングプラットフォームオフィスのディレクターを務めるRandy Stude氏は、Intel製PCチップセットの統合型グラフィックスのパフォーマンスに関する質問にそつなく答えていた。しかし基本的なグラフィックスパフォーマンスを比較的安価なデスクトップ機やノートブックで実現するように設計されたこのチップセットを使用している例は、イベント参加者の中で皆無だった。このことが問題の一端を担っているのは明らかだ。Stude氏は、「Wal-MartでPCを購入する人がPCゲーマーであっても不思議でないようにするには、PC業界が何か措置を講じる必要がある」と語る。

 Electronic Artsの一部門であるEA Partnersでバイスプレジデントとグローバルジェネラルマネージャーを兼任するDavid DeMartini氏は、PCにはもともとゲームデバイスとしての優位性が備わっていると指摘する。まず、3つの主要ゲーム機はすべて異なるテクノロジに基づいているため、ゲーム開発者にとってはIntelやAMDのチップセットを使ったWindows PC用にソフトウェアを開発する方が簡単だという点だ。またゲーマーにとっては、新しいゲームの要件に対応する最新のプロセッサやグラフィックスハードウェアを追加することによって、ゲームに合わせてシステムを拡張することが可能だ。それとは対照的に、いったん開発されたゲーム機はそれ以上拡張されることはなく、ゲームエクスペリエンスが進化するわけでもない。

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