YouTubeはコンテンツを検閲すべきか?--フィンランド銃乱射事件が投げかけた疑問 - (page 2)

文:Greg Sandoval(CNET News.com) 翻訳校正:矢倉美登里、長谷睦2007年11月20日 21時02分

 ハーバード大学ロースクールのBerkman Center for Internet & Societyのエグゼクティブ・ディレクター、John Palfrey氏によると、これはコミュニティーサイトには荷が重過ぎる要求だという。

 「YouTubeに圧力がかかっているのはたしかだ。だが、著作権侵害であれ、差別発言であれ、オンラインに流れた時点で情報をフィルタリングするのは不可能に近い。(YouTubeに)望めるのはせいぜい、技術や人によってそうした情報の通報を受けた場合に、チェックしてコンテンツを削除することくらいだ。サイト上に問題のある内容が存在することを知った後に、責任ある行動をとるよう求めることはできると思う」(Palfrey氏)

 インターネット上の動画サイトを利用すれば誰でも何百万人もの人々に向けてビデオを「放送」できるが、それを監督する規制機関はない。Palfrey氏によると、YouTubeはどんなコンテンツなら許容範囲か判断しなければならず、サイト上で米連邦通信委員会(FCC)のような役割を果たすことを迫られているという。

 「今ではウェブがテレビ化し、既存のテレビ放送と同じような影響力を持っている。だが、公開してはいけないと注意するFCCのような機関はないし、そういう人物もいない。YouTube自体が政府の規制当局と同じ立場にある。FCCが放送メディアの限度を定めるのと同じように、YouTubeは判断を下さなければならない」(Palfrey氏)

 報道によれば、Auvinen容疑者が公開したビデオの一部は、暴力的な白人至上主義者やネオナチ思想を信奉していたという。なぜこうしたビデオをYouTubeに公開できたのか疑問に思っている人は多い。Auvinen容疑者は以前に「NaturalSelector89」というハンドルネームでYouTubeアカウントを保有していたが、ユーザー同意書に違反したためこのアカウントを削除されたらしい。その後、Auvinen容疑者はドイツ語で「嵐の魂」を意味するSturmgeist89というハンドルネームで新しいアカウントを作成した。

 Baumer氏の話では、Auvinen容疑者には、300人を超えるチャンネル登録者(同容疑者がビデオをアップロードするたびに自動的に通知が送られるYouTubeユーザー)がおり、その多くはAuvinen容疑者と同じ見解を持っていたという。「彼らはお互いのビデオをチャンネル登録し合っている」(Baumer氏)

 CNET News.comが、このグループの関係者の一部が公開しているビデオクリップを調べたところ、ナチの歴史的映像のモンタージュや「オクラホマシティ連邦政府ビルの爆破犯」として知られる故Timothy McVeigh元死刑囚(2001年6月に死刑執行)を賞賛する内容、反ユダヤ主義のスローガンが含まれていた。死体や銃を発砲する人々の静止画像もあった。

 グループの1人は、プロフィールページに次のように書いていた。「白人の誇りを広める単なる白人の預言者だ。人種に関する現実と白人の誇りについての真実を広めたという理由で、(削除された)以前のビデオはアクセス禁止になったようだ。『真実に対処できない』人もいるのだろう。復讐心をたぎらせ、ここに戻ってきた。メッセージをさらに広めたい」

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