「たいしたことない自分」だから、本を書いた--梅田望夫氏講演:後編 - (page 6)

永井美智子(編集部)2007年11月16日 18時43分

――ウェブによってコモディティ化が始まり、日本でインターネットサービスを作っても世界で使われないのではないかと感じます。それは単に宣伝してくれる人がいないから使われないのか、世界的に見て人気が出ないのかはわかりませんが、若い人たちには米国に行って自分の力を試してこいと言うべきか、どうなんでしょうか。

 僕はそういう設問はあまり好きじゃありません。やりたい人がやりたいようにやればいい、というといい加減な言い方ですが、日本の企業で誇りを持ってシステムインテグレーションをやってる人が駄目だなんて思ったこともないですし、はてなの近藤(社長)のように米国に行くだけが道じゃない。成功する人は成功するし、失敗する人は失敗します。

 「日本発」というのも、昔よりやりやすくなってると思います。ソニーのような時代より、ずっとわずかな人数でできるようになってる。ただ、やれという必要はなくて、やればいい。勝つまでやった人が勝つのであって、最初から負ける構造になっているということはない。

 日本人でも、自分でやるのが難しければ米国人を雇えばいいんだし、英語を勉強すればいい。それはプライオリティのつけ方の問題。皆に勉強しろとは言わないけど、やりたいんならいくらでもやれる方法はあります。その人が何をやりたいかによる。

 ベストを尽くして「高く険しい道」、数万人に1人しか成功しないような道――米国でだって、数万人が使うようなサービスを作れる人ってあんまりいないし、そこに進む人には「最後までがんばれよ」としか言えない。「高く険しい道」はほとんど成功しないから、ほとんどの人はあるとき「けものみち」に降りる。でも、それでもしたいという人は応援します。

――米国大統領選挙において、ソーシャルネットワーキングサービスやブログをどのように活用しているか、実例を教えて欲しいのですが。

 あんまり知りません(笑)。これは重要な問題で、僕が米国に住んでいるから大統領選挙について語れるという前提が間違っている。肝に銘じてほしいと思います。

 そういうことは自分で調べたらいいんですよ、すぐできます。Googleがあれば、調べてみましょうか、というだけです。ウォッチしようと思ったら、そこに壁なんてない。心から知りたいなら僕に聞くのは間違いで、Googleに訊いてください。もちろんGoogleだけではないけど、そこをとっかかりにいくらでも調べられますよ。

 旧世代の人には多いんですよね。昔は情報が少なくて、米国選挙で何がおきているかを知るには英字新聞とかから情報を得るしかなかった。

 時間の使い方の違いだけなんだよね。僕は(大統領選挙について)ウォッチなんかしてない。自分の優先順位に従ってやってるから、いくつか優先順位が高いと決めたもの以外には語る資格がないんです。

 そういうものに対しては、答えないことが僕にとっての倫理観なんです。適当なことなら答えられるけど、それなりに自信があるもの以外は質問に答えない。そういう時代なんですよ。本当に知りたいならGoogleに行ってください。それがウェブ時代ということです。

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