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リアルの世界に生きる人は、ウェブ時代をどう生きたらいいのか--梅田望夫氏講演:前編
11月14日、東京丸の内にある丸善本店にて、経営コンサルタントの梅田望夫氏が新著「ウェブ時代をゆく―いかに働き、いかに学ぶか」について語る講演会が開催された。この講演の模様を前編、後編に分けてお届けする。
こんにちは。大勢の方に集まっていただいて嬉しく思います。僕は経営コンサルタントという職業柄、一般の講演というのはほとんどやらないんですね。持ち味は密室の話芸にあるんですが(笑)。密室で話すのと一般に話すのは大きく違って、一般に話すときは喋ってはいけない「NGワード」もありますから、すごい緊張してます。
「ウェブ時代をゆく」は、僕が全身全霊をかけて書いた本です。丸1年、ほかのことをほとんど何にもしないで書きました。今日の講演会では何の話をしようかと、ここ1〜2週間考えてました。この本で言いたいことは全部この本に込めたから、本の内容を説明するなら朗読するのがいいんですよね(笑)
実際、米国では朗読会というのがあって、たとえば村上春樹の英訳本の朗読会ツアーとかがあるんです。僕はパロアルトに住んでいて、そこで行ったことがあるんですが、それは不思議なもので、とにかくそのままその本を読むんです。とつとつと。で、その後サイン会がある。
同じことを日本でやるのはさすがにやるのはまずいよな、と思って(笑)。本の内容についてはじっくり読んで欲しいんですが、今日はこの本の裏話、この本をめぐる雑談を大きく3つくらいに分けてしようかなと思っています。
1つはメイキング。この本ができるまでのストーリーです。2つめは、この本では自分のことをずいぶん書いています。自分のことを書くのは恥ずかしいし、できればしたくないけれども、なぜそれをしたか。 3つめは、書いたんだけど、入れなかった話。これを最後にしようと思います。
「ウェブ時代をゆく」は400字詰めの原稿用紙で360枚くらいの分量があります。でも実際は900枚くらい書いていて、その中からいろいろ取り除いて、最終的にこの長さにしました。書き上げてから2カ月くらい、30回くらい推敲してます。大体のエッセンスは残っているけれども、丸ごと落っことしているところもある。
この講演会に来てくれた人は本が好きな人が多いのかな。丸善主催の講演会だから来たという人と、僕が喋るからという理由で来てくれた人がいると思うんですが。僕はとにかく本が好きなんです。父親が作家(※編集部注:小説家の梅田晴夫氏)ということもあって小さいころから本に囲まれていたし、京橋で父親が仕事をしていたので、日本橋にある丸善には父親に連れられていつも行っていました。だから、丸善で話をするのはなかなか感慨深いものがあります。
こんなわけで僕は本には特別な思い入れがあって、自分は職業作家ではないので本を出すのは人生の想定外なんです。本業で2つ自分の会社を持っていて、はてなを手伝っていたりもするので、ほかのことができないくらい忙しい。だから、本を書くことは考えていなかったんです。でもチャンスをもらった。自分にとっては大きなイベントです。
自分が本好きで、本を読むことで人生を切り開いてきたんです。ありがたい本と出会えて、「ウェブ時代をゆく」でもいろいろな本からたくさん引用したけど、だからこそ自分が1冊の本を届ける側になると大変緊張します。自分が受けたものを返すようなところがある。
なぜそんなに一所懸命に書いているかというと、日本の出版をめぐる文化がすごく好きなんですよね。編集者や書店で本を売る人など、きわめて良質な人が、本に対する敬意をもちながら日々生活している。そういう文化がとても好き。編集者の人たちとものを作っていく、そのプロセスが人生にとってすごく大切で好きなものなんです。だから、本を書くチャンスがあると、そこに過剰なエネルギーを注いでしまう。
僕の仲間はほとんどビジネスパーソンだから、「お前は何をしてるんだ」と言われます(笑)。米国人の仲間にちょっと来い、と言われて、仕事を放っぽり出してるから何か言われるんだろうと思ったら、「いつまでこんなことやってるんだ」と言われました。彼らはビジネスパーソンで金銭的な物差しで物事を図る。何百億円も動かすようなビッグビジネスに挑戦する方法もあるのにそれを放っぽり出してるから、「好きだからっていうのは分かるけどいつまでやるのか」と言われました。
「ウェブ進化論」を出したときには、一生に1冊の記念に、半生をすべてまとめる気持ちで書いたんです。出版社も含めて、誰も売れるなんて思ってなかった(笑)。でも、あっという間に皆さんが買ってくれた。
そうすると、もう1冊までは買ってくださるんですよね(笑)。おそらくですが。でも、10年後に出るようではもう忘れられちゃうから、2年以内に何とかしようと思ってました。だから、2008年3月までは一所懸命に本に関わることを一番優先しようと思ってた。その後のことはまだ決めていません。
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