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Google Gearsの課題と可能性--アプリ開発の現場から - (page 2)
オープンソースで業界標準になるという魅力
ただし、現時点でもまだ解決できていない問題もあると朴氏は話す。動画や画像といったリッチメディアを扱おうとすると、サーバとの通信が非常に遅くなるのだ。「Google Gearsはおそらくテキストデータのやりとりが前提なのだろう。このため、オフライン状態でWikiページにファイルを添付するといったことを実現するには高い壁がある。Google Gearsがバージョンアップしていく中で解決されていくと思うが、自分たちで対応しようとすると難しい」(朴氏)
Google側でも苦労している状況にあったようで、一度は0.2になったバージョンが0.1に戻ったこともあったと朴氏は話す。アセントネットワークスのスタッフが対応すべきか悩んでいるうちにバージョンが戻ったとのことだ。ただし、この点についてGoogleに問い合わせたところ、「バージョンがロールバック(障害が起きて前の状態に戻ること)したということはない」(広報)との回答だった。
ここまで苦労してでもGoogle Gearsを採用した、その最大の魅力は何だったのか。朴氏は将来的に標準になるという可能性に賭けたと話す。また、開発したサービスをオープンソースとして公開することも視野に入れていたことから、Google Gearsがオープンソースであることは大きな後押しになったようだ。
「きちんとした製品を作り、ユーザーの支持を得てからオープンソース化しようと考えていた。Googleが専門部隊を持ち、オフライン機能に特化したモジュールを開発するのであればそちらを採用したほうがいいと思った」(朴氏)
自社でモジュールを開発したほうが楽だったのではないか、という意地悪な質問をしてみた。すると朴氏は、「自社でやったらもっと時間がかかったかもしれない」とした上で、「でもコードのリファレンスがなくて苦労したので、最終的には同じくらいかな」と笑った。
オフラインでも使えるWikiが業務の効率性を高める
こうして作られた企業向けWikiサービス「Synki」(シンキ)は、11月にも英語版がリリースされ、その2週間ほど後に日本語版と韓国語版が公開される予定だ。当初は無料のベータサービスとして公開し、1カ月ほど後にはサーバ容量を拡大した有料版をリリースする予定だという。
開発中のSynkiの画面。ユーザーごとにWikiの利用権限を細かく設定できるため、社外とのやりとりにも使いやすいという
オンライン、オフラインの切り替えは右上にある赤枠で示した「Go Offline」を押すことで切り替える。オフラインにするとサーバ上にあるデータをすべて読み込み、クライアントに保存する。オンラインに戻すと、更新した差分のみをサーバに送って同期する
Synkiはユーザーごとに細かく権限を設定でき、複数のWikiサイトを開設できる点が特徴だ。ワークスペースと呼ばれる作業スペースごとに権限を設定できる。もちろんオフラインでも使用でき、オンラインになった時点で最新の情報に同期される。
「Synkiは『Sync(同期)するWiki』という意味。Wikiは次世代CMSとして着目している。非常に生産性の高いツールで、仕事で利用するのに向いている。特に他人と共同作業をする場合に有効だ。社内ブログは、将来Wikiに置き換わっていくかもしれない。いずれはSynkiとGmailだけあれば仕事が完結するような環境を提供したい」
Wiki記法を知らない人でも利用しやすいように、リンクタグなどを自動的に埋め込むボタンを用意する。今後はタグを不要にするWYSIWYGに対応するほか、スプレッドシートの共有などができるようにする。また、企業が使いやすいテンプレートも用意する。
また、ほかの企業システムと連携しやすいよう、APIの公開も考えている。「Synkiはプラットフォームに過ぎないと考えている。ユーザーの権限設定ができるので社外の人とも利用できるし、社内のデータを外部に出さないようにもできる。組織がフラットな構造で、社外とのコミュニケーションが多い司法書士や弁護士、PR業などが最も向いているだろう。ただ、それぞれの企業が独自の使い方を追加できるようにしていきたい」
Synkiは企業単位でなく部署単位、チーム単位で購入できるような金額設定を考えているという。ASPのほか、企業のサーバにインストールして利用できる製品も用意する。また、YouTubeなどのマルチメディアへの対応や、OEMでの提供も視野に入れている。とにかくどんどん使ってもらうことが、SynkiやGoogle Gearsの認知度を高め、発展につながっていくだろうと朴氏は語った。
関連ホワイトペーパー (ZDNet Japan)
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