同氏は取材に応えて「(この構想の)成功を期待している。われわれの試みが成功すれば、それは1つの通過点になる。しかし、この試みに失敗して、適当な代替案がなければ、競合する(バーチャル)世界同士で熾烈な戦いが繰り広げられることになるだろう」と話した。
だが現状では、さまざまなバーチャル世界の間で相互運用性が確立されていないものの、多くの人にとって、それで不便が生じているようには見えないことを考えれば、Renaud氏の表現はやや誇張気味のようにも感じられる。しかし、問題なのは、エンドユーザーや企業顧客を複数のバーチャル世界に参加させることが目的だとするなら、その都度一から新しいアバターを作成したり、あらゆるコンテンツを何度も何度も作成したりしなければならないことに、ユーザーが耐えられなくなる恐れがあるという点だ。
また、互換性のあるバーチャル世界を実現するインフラについて、興味深い展望をもっている人もいる。
たとえば、米軍や大学などの顧客向けにバーチャル世界を構築しているForterra Systemsの社長、Robert Gehorsam氏は、ユーザーが複数のバーチャル世界からさまざまな種類のコンテンツを見つけられるような、一種の検索システムが登場すると予見する。
「かなり面白いことになるだろう。3Dの世界では、検索対象は文書ではない。物を探すのだ。青のシボレーを探すと、何らかの形で適合する32件がヒットしたとする。こちらには、ブルーのシボレーそのもの。こちらはブルーのシボレーの所有者。そして(別の世界では)また別の1件がシボレーのある場所としてヒットする、という具合だ」と、Gehorsam氏は説明する。
それはともかく、相互運用性追求の取り組みにおいて、次の展開については具体的な計画が何もないのが現状だ。したがって、この発想自体も、何年後に達成できるかわからない机上の空論として、退けてしまうこともできる。
いっぽうで、9日の会議に参加した企業を頭に浮かべ、同会議に参加した23の企業および団体がコンソーシアムを結成することで合意したという事実を考えると、相互運用性の発想をまったくの机上の空論として退けてしまうのは難しい。このコンソーシアムには、参加を希望する一般市民も自由に加われるという。また、この構想の進め方について、アイデアやコンセプトを共有する目的で作られたWikiサイトもすでに存在する。
しかし、正式なリーダーではないにせよ、この取り組みの音頭取りをIBMとCiscoが行っていることについて、相互運用性への挑戦は、こうした大手企業よりも実際にバーチャル世界を作っている企業が主導するほうが望ましい、との声もある。
Virtual Worlds Conference and Expoを主催するShow Initiativeのエグゼクティブ・ディレクター、Chris Sherman氏は「(Linden Labや)Areae、Multiverseなどのプラットフォームが、このグループの舵取りを支援できるのであれば、その世界での経験の少ない企業(が率いる)より、成功する確率は高くなるだろう」と述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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