それでも、零細企業はIP技術がもたらす機能と柔軟性を求めている。Skypeによると、ピアツーピア技術を利用する同社のIP電話用ソフトウェアクライアントは世界各国で2億2000万人からダウンロードされたが、ユーザーの約30%は、ビジネス用途でサービスを利用しているという。Skypeは2007年1月、「Skype-to-Skype」「Video Calling」「SkypeOut」「SkypeIn」や、電話会議、フィルの転送、チャットなど、既存の機能を基盤とし、ビジネス用途に特化した製品「Skype for Business」を開発した。
だがSkypeは、「ビジネス」市場を狙ってはいるものの、ローエンドの市場にのみ対応すると述べている。
「Skypeは、エンタープライズ級のニーズに応えることを意図したものではない」と、Skypeの広報担当者Jennifer Caukin氏は語る。「とはいえ、小規模企業であれば、Skypeが既存の通信手段を補完し、通信費の削減と生産性の向上に役立つ非常に便利なツールであることを理解するはずだ」
Caukin氏は、8月のサービス停止は遺憾だと述べ、Skypeは顧客に予備の通信手段を確保するよう常に推奨している、と付け加えた。
「留意すべき重要な点は、Skypeが既存の電話サービスに取って代わるサービスではないということだ。Skypeは高度な自己回復機能を備えるが、ユーザー、特に法人ユーザーに対しては、可能性は低いもののインターネット接続の問題などでサービス停止に陥った場合に備えて、代替手段を確保しておくよう勧めている」とCaukin氏は述べた。
だが、8x8やVonageなど一部の企業は、従来の電話サービスに取って代わるものとして自社のVoIPサービスを売り込んでいる。8x8のホスティング型PBX(構内交換機)サービス「Virtual Office」では、3桁の内線番号による相互通話、通話転送、自動案内サービスなどの通話機能に加え、電子メールでアクセス可能なボイスメールなどの統合通信機能も提供している。月額料金は49ドル99セントからとなっている。
PBXは、構内の電話ネットワーク内で使用されるもので、ユーザーは外部との通話の際に特定の代表番号を共有できる。
8x8のサービスは、Skypeと同様に、公共のインターネットを使って音声パケットを伝送する。8x8の販売およびマーケティング担当バイスプレジデントHuw Rees氏は、インターネット経由のVoIPの安定性に関する懸念は大げさだと指摘する。
「一定水準のブロードバンド接続を利用しているなら、公共のインターネットは余裕でビジネスクラスの音声システムを提供できる。当社のサービスを利用している法人顧客は8000社以上あり、従業員数も2人から600人までとさまざまだ。インターネット経由のVoIPにまつわる問題は、2、3年前ならあったかもしれないが、今はもうない」とRees氏は述べている。
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