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ウェブアプリをネットワークの制限から開放するGoogle Gears - (page 2)
技術面より、使いやすい操作方法の実現が課題
では、これらの開発作業にかかる時間はどのくらいだろうか?Googleによれば、「内容にもよるが、JavaScriptが書ける開発者であれば2〜3週間で対応できる」(グーグル シニアプロダクトマネージャーの及川卓也氏)という。Google Gearsを発表した翌日にはスケジュール管理ツールの「Remember the Milk」がGoogle Gearsに対応した。ただし技術者向けの解説文書が英語版しかないこともあり、日本語の対応アプリはまだほとんどないのが現状だ。
「Google Gearsはウェブアプリケーションに新たなブレイクスルーをもたらす」と話す及川氏一番の課題は技術的な部分よりも、オフラインとオンラインの切り替えを、いかにユーザーがストレスを感じないように実現するかという点にある。Google Gearsではユーザーがボタンを押すことでオフラインモードに対応する形をとるが、「オンラインとオフラインの切り替えをユーザーが自主的に行うほうがいいか、システムが自動判別するほうがいいのかはユーザーシナリオによって異なる」と及川氏は話す。
たとえばイントラネットで利用するウェブアプリケーションの場合、社内でアクセスする場合と社外でアクセスする場合は接続するサーバが異なる可能性がある。その場合、自動的に接続しようとしてもうまくいかない。ユーザーにとって使いやすい操作方法、ウェブアプリケーションによって違ってくるのだ。オフラインでの利用というのはウェブアプリケーションにとって新機能になるため、デザイン面も含めた開発者の試行錯誤が必要になってくる。
GoogleではGoogle Gears対応アプリケーションを増やすためにも、将来的にはベストプラクティスと呼ばれるような成功事例をサイトで紹介していく考えだという。
ただ、ユーザーにとっては、ネットワークがつながらない場所、もしくは接続が不安定な環境でもウェブアプリケーションを利用できる点は大きい。「日本ではブロードバンドが普及しているが、世界ではまだネットワーク環境が悪く、すぐに接続が切れてしまうような場所も多い。また、従量課金の環境では必要なときだけ接続すればよくなり、通信料金を低く抑えることができる」(グーグル広報の斉藤香氏)
Google Gearsは新BSDライセンス下でオープンソースとして公開しており、法人、個人を問わず広く利用してもらいたい考えだという。Google Gearsで収益を上げるというよりも、インフラとして普及させ、Googleのサービスをより多くの人に、より頻繁に利用してもらうのが狙いのようだ。
そもそも、ウェブアプリケーションをネットワークのつながっていない環境でも使いたいという発想は、決して新しいアイデアではない。それでも「ウェブの標準技術を使ってできないかと考えたのがGoogleならではの発想」と及川氏は話す。ほかの企業では開発ツールを独自技術で提供するという囲い込みの考えになりがちだが、「オープンソースで成り立っている会社だからこそ、オープンソースで提供しようという考えになった」(斉藤氏)。実際、Google Gearsをリリースする際の会議では、満場一致でオープンソース化が決定したという。
Google Gearsは新しい可能性も秘めている。ワーカープールというモジュールは、複数のJavaScriptを非同期で動作できる技術だ。これを利用すれば、たとえば1つのJavaScriptがデータを読み出している間に、隣で別のアプリケーションが動作できる。これまではかなり大規模のデータを処理する場合、インターフェースが固まってしまうようなことがあったが、ワーカープールを利用することで1つのブラウザ上で複数の作業ができるようになる。
Google Gearsはまだベータ版で、開発者からのフィードバックを受けて改良を重ねていく。また、標準技術にしていくために、他社との連携を進めていく。「ユーザーに違和感なく利用してもらうためには、ブラウザの標準機能としての搭載が理想的だ」(及川氏)
MozillaはFireFoxの次期バージョン「FireFox 3」でオフラインに対応する予定だ。ただしGoogle Gearsをそのまま搭載するのではなく、WWW Consortium(W3C)内のウェブアプリケーションに関するワーキンググループ「Web Hypertext Application Technology Working Group」(WHATWG)で定めた標準に従ったモジュールを搭載する考え。Google Gearsはオープンソースの標準技術にしていくとGoogleでは話しており、WHATWGにおいてGoogle、Mozillaなどが協業し、ウェブアプリケーションをオフラインのブラウザ上で利用するための標準を決めていく可能性が高い。また、GoogleはAdobeのAIRとも連携する考えを示しており、開発者にとっては自分のウェブアプリケーションをいくつものの仕様に合わせなくてはならない、といったことは回避できそうだ。
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