米大統領選と動画配信--レッシグ教授、討論会映像の自由なネット利用を訴え - (page 3)

文:Caroline McCarthy(CNET News.com) 翻訳校正:向井朋子、高森郁哉2007年05月15日 16時56分

 だがNewmark氏は、楽観的な見方をしながらも、議員たちがこうした提案にすぐ署名するとは考えにくいと述べている。「私は、DNCには大きな信頼を寄せている。問題はRNCで、署名を望む共和党員もいるだろうが、同党の候補がじっくり見極められることを嫌う党員もいるということだ」

 実際、そのような状況になるかもしれない。RNCの関係者は4月25日午後、同委員会が「この問題にかかわるつもりはない」と明言している。Lessig氏はCNET News.comに対し、DNCと話し合いを重ねてきたことを認めたが、話し合いの詳細については明かしていない。その後、DNCの広報担当者Stacie Paxton氏はこう付け加えた。「われわれはすでに、DNCが認可する討論のコンテンツをよりアクセスしやすくする方法を探っている。そして、テレビ局との話し合いの中で、この件や他の問題について引き続き取り組んでいく予定だ」

 報道で大きく扱われる政治的な動きの例に漏れず、Lessig氏の書簡にも、いくつかの批判が出ている。非営利のシンクタンクProgress & Freedom Foundation(PFF)の上級研究員を務めるJim DeLong氏は、大統領選の討論会の動画に行き過ぎた「リミックス」や編集が施されることで、発言の意味が完全に歪曲されてしまう危険を懸念している。

 「こうした動画をYouTubeにアップして、誰でも好きなように改変できるようにすることがいいアイデアだとは、私には到底思えない。右派と左派の両方に何が起こるか想像がつくだろう。こうした動画は切り刻まれ、一言一句が文脈から引き離され、世界中に飛び散っていくのだ」と、DeLong氏は説明する。

 DeLong氏の意見では、討論会の動画をパブリックドメインやCreative Commonsライセンスの状態にするといった急進的な手段を取らなくても、動画をオンラインで利用できるようにすることは可能だという。「実を言えば、討論会をテレビで放送する必要さえないのだ。(テレビ局が)討論会を収録し、それをウェブキャストで報じる。それをただインターネット上にアップしておき、その後も需要があるなら、そのまま置いておけばいい」と、DeLong氏は話す。

 だが他方で、Lessig氏の書簡の趣旨を称賛し、討論会の映像を万人が自由に扱えるようになることを歓迎する人々もいる。ブロガーのJeff Jarvis氏もその1人だ。同氏はウェブサイト「PrezVid」を通じて、2008年大領領選の選挙活動におけるオンライン動画の役割を追跡している。

 「こうした素材への制約は、どんなものであれ、なくすべきだと思う。これは米国民の財産と見なされるべきだ」と、Jarvis氏は語る。「われわれの政府を選ぶための討論会であり、これを放送する誰もが映像を共有財産にする、そんな状態が望ましいと思う。そうなってしかるべきだし、たとえそうならなくても、われわれがこの動画を使うのは変わらないだろう」

 Redstate.comのKrempasky氏の考えでは、もしテレビ局や両政党が討論会の動画コンテンツを自由に使用することに反対するなら、彼らは勝ち目のない戦いに臨むことになるという。「これが未来だ。流れを変えることはできない。もし何かを阻止できないのなら、それに真正面から取り組んだ方がいいだろう」と、Krempasky氏は語った。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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