ホステッドサービスに関する議論のなかで、Microsoftの幹部らが語るのは、同社が推進する「Software plus Service」だ。これは、ユーザーのコンピュータとローカルデータを活用するWebサービスだ。Microsoftでは依然としてWindowsが同社の売上の大部分を生みだしており、OSの重要性が低下すれば痛手をこうむることを考えると、これは当然と言える。
しかし、YouOSを運営するWebShakaは、ウェブOSという概念をそのまま実現することを目指しており、OSがウェブアプリケーションに提供する機能の多くをそのまま再現しようとしている。
現在YouOSは、バージョン0.1という初期段階にあるが、WebShakaはこの設計の出発点を、グラフィカルなウィンドウ表示システム、ハードウェアおよびソフトウェア間の相互作用、動作中のプログラムのための専用メモリ、統合された開発環境などを含む主流のコンピュータOSに置いている。また同社は、YouOSのアプリケーションをウェブブラウザのクライアント内に収めてしまうつもりはない。
WebShakaの共同設立者の1人であるJeff Mellen氏は、同社のブログThe YouOS Blogに次のように記している。「われわれは、ユーザーが自分のデータにアクセスすることもできるし、誰が作成したものであれYouOSネットワーク内にある多数のアプリケーションを動かすこともできるような、単一の場所を作ろうとしている。最終的には、YouOS上のデータやアプリケーションにはどんなブラウザからも、さらにはどんな機器からでもアクセスできるようにしたいと考えている」(Mellen氏)
Microsoftの元幹部が設立した企業で、スウェーデンを拠点とするXcerionも、OSという概念を中心に据えている。同社はXMLベースのウェブアプリケーションの作成用にビジュアルツールを提供する「Xcerion Internet OS(XIOS)」の開発に取り組んでいる。
Xcerionの最高経営責任者(CEO)を務めるDaniel Arthursson氏によると、同社は、クライアントをダウンロードする必要がなく、さまざまなサーバーとの互換性を持ったXMLベースのアプリケーションの準備を進めている。Xcerionのアプリケーションをホストするサービスは、Arthursson氏の構想では、広告収入もしくは、年会費10ドル程度の少額料金を資金として運営することになるという。
すでに、NingやCogheadといったサービスでは、プログラマーというよりエンドユーザーが、ブラウザからウェブサイトアプリケーションを作成できるようにしている。
しかし、こうした技術革新にもかかわらず、料金を払う消費者が本当に「ウェブOS」を求めているかどうかははっきりしない。
この2年間、ホスティング型のウェブアプリケーションすなわちウェブウェアが急増している。ワープロやソーシャルネットワーキングサイトなど、使い勝手のよいウェブアプリケーションは増える一方だ。
複数のアプリケーションを1つのウィンドウにまとめ、あらゆる場所から仮想の「デスクトップ」にログオンを可能にするウェブトップは、現在あるウェブアプリケーションの大部分にとって機能を向上させるものになる。しかし、ストレージなどの機能も含めて、コンピュータをオンラインで再現することによってビジネスを構築しようとするのは、技術面からもマーケティング面からも容易なことではないと、システム管理を扱う新興企業Spiceworksでバイスプレジデントを務めるJay Hallberg氏は言う。
「技術オタクや新しもの好きの人々の世界では(ウェブOSは関心を)引くが、結局、そういう人種は人口の10%でしかない。こうした人々は、自分がかかわっていることを仲間うちだけで語り合ってしまいがちだ。肝心なのは、取り組んでいる問題に、金を払っても解決してほしいと思う人がいるかどうかだ」と、Hallberg氏は語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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