Windows開発責任者J・オールチン氏、Vista発売までの悪戦苦闘を振り返る(前編) - (page 2)

文:Ina Fried(CNET News.com) 翻訳校正:中村智恵子、緒方亮、長谷睦2007年02月02日 08時00分

 MicrosoftはLonghornのすべての要素が連携して動くよう、努力を重ねたが、それらすべてを妥当な期間内に提供する見込みが立たないことが判明した。そこで次善の策として、Windowsの基幹部分に加える変更を減らし、デスクトップ検索についてもより穏当な改善にとどめることにしたのだ。

 2004年8月、Microsoftは次期Windowsに関する計画を見直していることを認めた。同社はこの時点でファイルシステムの変更を取りやめたほか、ほかにもいくつかの変更を加えた。これは2006年のホリデーシーズンに発売を間に合わせるための苦肉の策の1つだった。

 これらの変更にもかかわらず、Allchin氏はVistaが「大ヒット作」になることを疑っていない。ただし「その良さが完全に認識されるにはおそらく何年もかかるだろう」とも述べている。

 これは別に、今に始まった話ではないとAllchin氏は見ている。「Windows XPを完成させたときも、みんな『何だ、このつまらないOSは』と言っていた。なのに今では誰もが『XPは素晴しい出来だ。Windows Vistaが今後どうやってここから何とかするつもりなのか、さっぱりわからない』などと言っている」(Allchin氏)

 Allchin氏に言わせれば、過去のWindows製品よりもVistaが抜きんでているのは、細部への心配りだという。同氏とWindowsデザインチームは、細かな部分がスムーズに動作するよう、多大なエネルギーを注いだ。ウィンドウが開いたときに鳴る短い音から、新しい一連のシステムサウンド、さらには中のコンテンツをプレビュー表示するフォルダに至るまで、配慮は多岐にわたる。

 細部への注力について、Allchin氏は「こうするしかなかった」と語った。「大まかな流れを描けるようになるのもいいことだが、ユーザーが実際に体験する、細部への配慮こそが重要だ」(Allchin氏)

 Vistaに関わったトップクラスの開発者たちは、携わっている機能のすべてについて、「野暮ったい外観」にはしないとの誓約をたてなくてはならなかった。

 これはAllchin氏の発案ではなかった。とはいえ、誓約の言葉遣いそのものは感心しないが、考え方には賛成だと同氏は述べた。だからと言って、同氏がこの言葉にまったく反応を見せなかったわけではない。

 Allchin氏はユーザビリティラボで多くの日を過ごし、冒頭で触れた2006年2月1日もその中の1日だった。あの日の時点では、どんな操作をしても消えないダイアログボックスなど、ミュージック・ジュークボックスの挙動の細かい点に、Allchin氏は不満を募らせていた。

 「あれが、われわれのシステムデザインのやり方だ--とにかく使いにくいのだ」と語るAllchin氏は、明らかにいらだちで我を失っているように見えた。しかし、その後すぐ、同氏はユーザーの音楽ライブラリすべてを自動的にインポートする新機能について絶賛し「大好きだ。大好きだ。本当に好きなんだ」と繰り返し語った。「とても良くなった。ボタンを1つ押すだけで、すべての設定をやってもらえる」(Allchin氏)

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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