Amazonのビジョンは非常に野心的であるが、Amazonの技術投資額に懸念を示す財務アナリストもいる。同社は、現在までに20億ドルを投資し、その一部はAmazon Web Servicesの運用と開発に費やされている。
Bezos氏は、将来を見込んでの投資だ、と反論する。Amazon Web Servicesは、かつて同社が海外展開や、本と音楽以外のジャンルを手がけることを決定したときと同じような、新しい分野への進出だというのだ。これらの事業も、「財務上明白な実績」が出るまでには3年から7年かかった、と同氏は説明する。
Amazonが発表した最初のWebサービスは、開発者がアプリケーションプログラミングインターフェース(API)を通じて同社の小売サイトで生成されたデータにアクセスできるというものだった。例えば、ウェブサイト開発者は、AmazonとeBayから書籍の価格情報を引き出して、買い物客向けにその情報を表示できる。
しかし、Amazonはここ数カ月の間に、同社の小売サイトとは特につながりのない2つの汎用コンピューティングサービスを始動している。これらのサービスでは、まさにユーティリティコンピューティングのアイデアが活用されている。
2006年8月にベータ版として公開されたAmazon Elastic Compute Cloud(EC2)は、Amazonのサーバを時間単位で外部企業にレンタルするサービスである。
そして、同じ方式でデータストレージサービスを提供するAmazon Simple Storage Service(S3)が、3月に発表された。Amazon Web Servicesにはその他にも、開発者が、同社の巨大な流通センターを利用してフルフィルメントを処理するアプリケーションを記述したり、Amazonのシステムを利用してコンピュータ間の高信頼性メッセージングを行うアプリケーションの記述を可能にしたりするサービスがある。
さらに、請求書をあたってコンピュータが検出できない問題を特定するといった些末な作業を行うアウトソーサーを自動検索する、Amazon Mechanical Turkというサービスもある。
このような最新のコンピューティングサービスの発表は、特に小規模なウェブ企業の開発者に大きな反響を巻き起こした。従量制というシステムによって、コンピューティング機器の購入、人材の雇用、回線プロバイダーとの交渉といった手間がなくなる。
例えば、写真共有サイトSmugMugのCEO兼技術責任者Don MacAskill氏によると、同社ではAmazon S3を使用して年間50万ドルを節約しており、2007年には100万ドルの経費節減を見込んでいるとしている。Linden LabsもAmazon Web Servicesユーザーだ。同社はAmazon Web Servicesを利用して、同社が構築する仮想世界「Second Life」のソフトウェア定期更新プログラムをダウンロードする際に急増するトラフィックを分散させている。
コンシューマーサービス企業として知られるAmazonが、時間単位で課金されるレンタルサーバや高信頼性メッセージングサービスといった基盤的なコンピューティングサービスを提供するのは意外だと思う向きも多いだろう。
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