Appleをデジタル音楽の王座から引きずり下ろせる企業があるかどうかをアナリストたちが論じている現在の状況は、ある意味驚くべきことだ。5年前、デジタル音楽のリスナーは違法行為すれすれのやり方で楽曲を手に入れていた。Napsterと後続のKazaaは、数百万人の学生と若いマニアたちに、お気に入りの楽曲やアルバムのデジタルコピーによる音楽コレクションを作ることを可能にした。また、自分のCDをデジタル形式にリッピングする人は多かったが、ファイル共有サービスの急増でたくさんの人たちがレコードショップに行かずに楽曲を手に入れられるようになった。
一方、これがもとで1つの問題が生じた。デジタル音楽のリスナーが自分たちの音楽コレクションを楽しもうと思っても、その大半が1人暮らしの部屋など制限された場所で聴かなければならなかったのだ。ソニーが『ウォークマン』でそのコンセプトを世に広めて以来、携帯音楽は長らく不遇をかこってきた。「90年代の『ディスクマン』はウォークマンのようにうまくいかなかった」とWu氏は語る。そして、かさばって扱いにくいディスクマンを「あれはあまりに80年代的だった」と称した。
そして、携帯音楽プレーヤーの時代が来た。RioやCreative Technologyといった企業は、MP3ファイルを格納し再生できるハンドヘルドデバイスの開発ではAppleをかなり先行していた。しかし、当初は市場がこの新しいデバイスをどう判断したものかわからず、PCと音楽プレーヤー間のファイルの移動も簡単ではなかった。
2000年のある時点で、Appleは行動を起こした。そして2001年1月、同社はデジタル音楽コレクション管理ソフトウェア、iTunesを発表したのである。そして2001年10月、iPodがデビューを飾った。最初のモデルの容量は5GB、価格は399ドル。当時、アナリストたちはこの価格は少し高すぎると考えた。しかし、この価格は後に299ドルに下げられ、大容量モデルも発表された。
2003年、AppleはWindowsの世界に参入した。これを不名誉な行為と言う人もいたが、WindowsユーザーもiTunesによって音楽を管理できるようになったのだ。この後も勢いは加速し続け、iPod mini、iPod nano、iPod shuffle、そしてJobs氏がかつてそのコンセプトに冷ややかな反応をしたビデオiPodが誕生した。
Appleがこれからどのようなアクションを起こし、いかなる課題に直面するとしても、Appleが2つ目の歴史的な製品を、それも1つ目よりさらに強烈な形で世界に送り出したことは間違いない。「iPodはもはや文化的現象である。AppleはこれからもiPodのシンプルさと統合感、洗練されたスタイルを失ってはならない」とBajarin氏は強調する。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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