モバイル検索を狙え--携帯事業者と検索企業の新市場を巡る駆け引き - (page 3)

文:Marguerite Reardon(CNET News.com) 翻訳校正:編集部2006年09月27日 00時57分

 しかし、VodafoneはGoogleとの契約(2月にスペインのバルセロナで開催されたトレードショー「3GSM」で発表されたもの)を白紙に戻すことを検討しているとのうわさが最近流れている。一部の報道によると、キーワード検索からの売り上げの半分、および関連する広告収入の少なくとも一部をGoogleが得ることになっているという。Vodafoneは、Googleの広告ベースの検索が導入されると、減益幅がさらに大きくなるのではないかと恐れている。Googleはこうした噂を否定している。

 噂の真偽はともかく、この件はモバイル検索における深刻な問題を浮き彫りにしている。携帯電話事業者は、Googleのような知名度のある検索会社と提携する道を選ぶと、検索アプリケーションから得られる広告関連収入のコントロールを失ってしまう危険性がある。さらには、検索会社の検索ツールを使用することで、携帯電話事業者自身のブランド力が弱まる可能性もある。米国の携帯電話事業者が、あまり知られていないモバイル検索専門企業に独自の検索ツールを開発させることが多い理由の1つはここにある。

 「米国では、携帯電話事業者はすべてを自社ブランドで統一したがる」とMcCabe氏は指摘する。「彼らは売り上げをコントロールしたいのだ。『ホワイトラベル』(他社が開発したものを自社ブランドで提供すること)ソリューションを選択するのもそのためだ」(McCabe氏)

 ホワイトラベル方式では、携帯電話事業者は検索ツールに自社のブランドを入れる。そうすることで、顧客を保持し、パーソナライズされた検索結果を提供することも可能となる。米国最大の地域携帯電話事業者Alltelは米国時間9月12日、JumpTapのテクノロジーを使用して自社製のモバイル検索ツールを構築すると発表した。Alltelは、JumpTapが提携を発表した最初の携帯電話事業者である。「JumpTapは他にも、カナダの携帯電話事業者2社、米国トップの携帯電話事業者、さらには仮想移動体サービス事業者(MVNO)とも契約を交わしている」(McCabe氏)

 携帯電話事業者は、自社ブランドの検索ツールを開発することによって、今までに収集した顧客データを利用して検索の精度を上げ、さらに有用なリンクをユーザーに提供することができる、とMcCabe氏は言う。GoogleとYahooの検索アルゴリズムでは、こうしたパーソナライズされた情報は使用されない。

 一方、GoogleやYahooの検索ツールを使用すると、加入者に、より広範な検索結果が返される。また、携帯電話事業者が検索ツールをコントロールした場合、検索結果を操作して加入者を自社サイトに誘導することも可能になりうる。

 「携帯電話事業者が検索をコントロールする場合に問題となるのは、加入者が本当に求めている結果を返さずに済ますこともできてしまうという点だ」とBangoの最高経営責任者(CEO)は指摘する。Bangoはコンテンツ所有者の売り上げ確保を支援する企業だ。

 携帯電話事業者が独自に検索ツールを開発するにせよ、知名度のある検索会社と提携するにせよ、モバイルインターネットの利用を拡大し、携帯電話からのeコマースの利用を促進するには、検索が鍵になるという点で、ほとんどの専門家の意見が一致している。

 「携帯電話から行えることが増えると、やがてそれらは必要不可欠な機能になる」とGillott 氏は語る。「現在、ユーザーがサービスプロバイダを選択するときの基準にしているのは、サービスエリア、価格、顧客サービスの3つだ。しかし、この3つの要素がどのプロバイダでも同じレベルになると、検索が差別化の要因になる可能性がある」(Gillott 氏)

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ

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