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ディーゼルはもはや禁句ではない--ガソリン代替エネルギー最有力候補の現状
エタノール、電気、バイオディーゼル、圧縮天然ガス、水素、水素燃料電池、ハイブリッド燃料。これらは自動車黙示録(安価な石油がなくなる日--自動車の燃料が今よりも複雑な問題になる時代の前触れ)に登場する7人の騎士である。
「安価」といえる状態の石油がなくなるまでに、おそらくあと50年は残されているだろう。安価な石油とは、十分に豊富かつ低価格でマイカーの燃料として使用できる状態を指している。石油を安価に入手できなくなると、運輸サービスや軍事利用、緊急車両などでしか使用できなくなるだろう。許可を受けたクラシックカーの収集家などは年間1000ガロンの購入を許可されるだろうが、そうでもないかぎり、石油とその高価な精製物であるガソリンの規則外目的の消費がどうなるのかは想像がつかない。
しかし、それはずっと先の話だ。このコラムを読んでいる大半の読者は、そんな時代になる前に高齢に達して免許を取り上げられているだろう。われわれが心配しているのは、ガソリンがいつなくなるかではなくて現在いくらでガソリンを買えるのかであり、大気汚染が現在どの程度深刻なのかであり、ガソリン消費によってどんな地球規模の問題が生まれているのかだ。「プリウス」のようなエコカーに乗っている一部のユーザーを除き、大半の人たちが求めているのは、マイカーを新しい基準で選択することではなく、燃費がよくそこそこに格好もよくて、今乗っているものよりも安価な自動車だ。
別の言い方をしてみよう。さらに発展した自動車の登場を阻んでいるのは、石油会社の陰謀や自動車メーカーの新奇性の不足だけではない。他ならぬわれわれ自身なのである。われわれは、高いエコカーなど要らないと態度で語っている。執拗にユーザー調査をかけてくる自動車メーカーのマーケットリサーチに対する自分たちの回答が何よりの証拠だ。そして、わたしがディーゼル車に対して可能性を感じる理由はそこにある。ディーゼル車は十分特徴があるし、決して奇妙でもない。
実際、ディーゼル車は現在人気を集めている。わたしは、フランスの田舎をGolfの新型「TDI」ターボディーゼルで走ってきたばかりだが、十分に楽しく快適だった。スイス国境からジュネーブに入ると、わたしはすぐに、同じ車を購入しようと思って配送手続きを調べてみた。結局ディーラーはわたしに代わって配送手続きを完了することができなかったのだが、これが幸いした。もし配送されていたら、カリフォルニアで登録の手続きができなくてひどい目にあっていただろう(これについては後述する)。
力強いトルクと巨大な燃料タンクがわたしの記憶に残っている。4日間走り回ったが、決して交通渋滞の原因になることはなかった。Golfはいつも一生懸命で、息を切らせながらも路上の他の車と同じペースを保っていた。
優れたディーゼル車は他にもある。Car and Driver誌は、「BMW 330i」セダンのターボディーゼル版である「BMW 330d」を絶賛している。試乗者によれば、ガソリン車モデルの330iより速く感じられるうえに燃費が44%も良く、ミッドレンジのトルクが非常に強いのでシフトダウンするのを忘れるくらいだという。
新型2.7ディーゼルV6を搭載した「Jaguar XJ」にも同じことがいえる。The Times of London誌はその強力なトルクとジャガーの大型車種にして1英ガロンあたり35マイル(燃料1リットルあたり約12.4km走行)という燃費水準を賞賛している。
これらの車に共通するパターンがお分かりだろうか。そう、経済性と俊敏性、高級感である。ディーゼルはあらゆる車種の中で最高の性能を証明しつつある。しかし、米国では2つのハードルがある。イメージの悪さと排ガスである。
前者については、GMが70年代後半から80年代にかけてディーゼルエンジンを投入して大失敗に終わったことが大きく影響している。わたしの記憶では、これらのディーゼルエンジンは、基本的にガソリン車のエンジンをリエンジニアリングしたものだったので、あらゆる点で破綻をきたした。カムシャフトは一箇所にまとめられたものの、とにかく出来の悪いうるさく汚いエンジンで、大きくエレガントな車体は台無しだった(少なくともGMはディーゼル車の成功を目指していたが、FordはBMWターボディーゼルエンジンを搭載した「Lincoln Mark VII」などのヘンテコな車を作って時間を浪費していただけだった)。
MercedesやVolkswagenがS-ClassやGolfといった素晴らしいディーゼル車で成し遂げた実績は、GMがこのようにディーゼル車で大失敗したために、すべて台無しになってしまった。これらの広く普及したドイツ製ディーゼル車は、現在のコモンレール(蓄圧装置)式ターボディーゼルと比べれば速さも静音性も劣っていたが、よくできた車だった。改良すれば、現在でも注目を浴びている車に比肩する可能性は十分にある。
ディーゼル車が抱えるもう1つの問題は、その排ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)である。不完全燃焼によって生じるNOxは、おそらく光化学スモッグの最大の原因だろう。NOxはディーゼル車のアキレス腱だ。ディーゼルエンジンは高い圧縮比で動作するので高温になり、燃料に含まれる硫黄によって高濃度の窒素酸化物が生成される。2007年から施行される米国の新しい排ガス規制法は欧州の規制よりもかなり厳しい内容で、欧州でディーゼル車が人気を呼んでいても米国では販売さえできなくなる。
これを解決するためのストーリーは次のとおりである。まず、新しいディーゼル車燃料の厳重な硫黄含有率規制により、ディーゼル車の燃料は現在よりも33倍きれいになる。この法律は、2007年以降すべての車種に適用されなければならない。次に、既に欧州のディーゼル車の排気システムで使用されている粉塵フィルタと集塵後処理技術(BMWは尿素注入法に取り組んでおり、Mercedesは独自のBlueTecシステムを提供している)を組み合わせれば、さらに排ガスを浄化できる。これにより、50の州で認可されるディーゼル車が早ければ2008年モデルから登場し始め、2010年までには本格的に市場が立ち上がるだろう。
率直に言えば、ユーザーが持っているディーゼル車に対する悪いイメージのほうが、排ガス問題よりも大きく思える。
そこで最も魅力的な最終案に思えるのがディーゼルハイブリッドエンジンだ。ディーゼルと電気モーターを組み合わせれば「代替」エンジンはもっと良いものになる。ディーゼル車は電気自動車よりも小型かつ軽量でありながら、最適なRPMレンジを超えても力強いトルクを維持できる。
ディーゼルハイブリッドこそが、ほぼすべての運転シナリオにおいて極めて力強い走りを実現し、燃費の点でも優れた自動車だ。Robert Boschの会長Hermann Scholl氏は、2010年までには米国でディーゼルハイブリッド車が登場すると予測している。
悪臭や騒音がしてパワーに欠けたディーゼル車はもう過去のものだ。今日のディーゼル車は、同性能のガソリン車よりも約45%燃費が向上し、実世界のドライブを楽しむために十分なトルクを実現できる。ガソリン不足が避けられない現在の燃料環境では、ディーゼル車への移行は容易に進むだろう。しかもディーゼル車を運転するために新しく覚えることは何もない。キーを回してアクセルを踏み込むだけだ。
数年でディーゼルハイブリッド車が登場すると、新しい時代の流れが本格化する。ディーゼル車によって石油エネルギーからの脱却が実現されるわけではないが、石油の使用量が減るし、ディーゼルは石油よりも精製の工程が少ない。ガソリンの価格のうち精製コストが原油価格と同程度に高い割合を占めるため、この違いは大きい。バイオディーゼルエンジンが登場すればさらに効果的だろう。
現代のディーゼルエンジンは、倹約していることを感じることなく倹約を実現する手段である。運転していて楽しく、排ガス規制にも適合した、ごく近い将来に登場するであろう自動車の新しい形だ。最大の問題は、ディーゼル車の持つイメージの悪さである。
著者紹介
Brian Cooley
CNET上級編集者。
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