典型的な例として、今、議論を呼んでいる「Hadji Girl」と題する映像がある。このクリップでは、Joshua Belileというイラク駐留米海軍兵が、「イラク人の娘と恋に落ちるが、彼女の家族から待ち伏せ攻撃を受けたので、仕方なく皆殺しにしてしまった」という内容の歌を歌っている。同氏は、その歌はブラックジョークのつもりだったと言っているが、多くのイスラム教徒たちの怒りをかっている。
米国製の武器を題材にした映像も多数投稿されている。そうした、映像はたいてい同じようなパターンになっている。ヘビーメタルの曲が流れ、米軍がドアを蹴破り、マシンガンをぶっぱなす。ヘリコプタからの一掃射撃がモスルにある武装勢力の拠点と思われる建物を粉砕する、と映像の字幕には表示される。米兵が赤外線カメラで武装勢力を監視し、発砲する映像もある。武装勢力に相対する米軍によって撮影されたと思われる「Iraq Airstrike(イラク空襲)」と題する映像もある。中身はこんな風だ。ビルの内部で爆弾が爆発し、背後で大歓声が起きる。
「やったぜ」と背後の声。「地獄で合おうぜ、犬ども。あばよ」
米中央軍司令部の広報担当者によると、作戦上の機密事項に抵触していないかぎり、兵士がそうしたビデオクリップをウェブに投稿する行為を取り締まる正式な役職は存在しないという。つまり、部隊の現在位置や軍の強さなど、重要機密事項を漏らさないかぎり兵士が映像を投稿するのはかまわないということだ。
「米軍の使命は、イラクの再生と平和ということになっているはずだが、これらの映像の中には、その使命と矛盾するようなメッセージを発信しているものもある」とSnow氏は指摘する。
しかし、そうした映像をホスティングするウェブサイトを批判するのや、そうしたサイトが敵を支援しているとして非難するのは筋ちがいだ、とOgrish.comの共同設立者Hayden Hewitt氏は指摘する。Ogrish.comは、インターネット上で極めて残虐な映像を配信する専門サイトとして知られている。
Ogrishでは、武装勢力だけでなく米兵が殺害されるシーンも見ることができる。
「われわれはどちらか一方の側につくということはしない」とHewitt氏は語る。「われわれは、戦争の都合の悪い部分をあえてすべてさらけ出して見せている。それこそが、人々が見るべきものだと考えているからだ。本当に起こっていることを知らないで、この戦争について分別のある決断を下すことなどできない」(Hewitt氏)
Hewitt氏は、こうした動画共有サイトが、公平な情報センターの役割を果たすようになることを期待する。戦争について知りたいと思っている人たちは、こうしたサイトにログオンして、どちらの側が真実を述べているか自分自身で判断することができる。
「政府の発表やメディアの報道だけに依存する必要はなくなるだろう」(Hewitt氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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