米企業で進む「Web 2.0のススメ」--使えるコラボレーションツールを目指して - (page 2)

文:Martin LaMonica(CNET News.com) 翻訳校正:河部恭紀(編集部)2006年07月11日 21時21分

 重要なことは、IBMが大規模で高度なナレッジマネジメントシステムを定義および構築する方法を選択せずに、ボトムアップ型のアプローチを採用したことだ。これにより、利用者が、共同作業の構築に積極的に参加することができる。

 IBMでは、このソーシャルネットワーキングの手法とテクノロジを商用サービスとして提供するつもりだという。

 「Web 2.0の個人向けツールが企業でも十分に使えること、ソーシャルネットワーキングによって付加価値が生まれることが分かった。このように『集団知』を形成して利用するというやり方は、従来型のナレッジマネジメントとは異なるアプローチだ。従来のアプローチには根本的な欠陥がある」(Rhodin氏)

 Microsoftも、こうした軽量コラボレーション手法に注目している。同社は、Questsという社内コミュニケーションシステムでwikiを使用している。Microsoftは「SharePoint Server 2007ポータルサイトにもwikiを組み込む予定だ」(O'Kelly氏)という。

有機的な構造

 確かに、エンドユーザーに自由にコラボレーションさせると参加者が増えるという利点はあるものの、こうした「自由参加型」システムには落とし穴もある、と業界ウォッチャーたちは指摘する。

 例えば、wikiの作成、編集、廃止の仕組みを監視し、何らかのポリシーを策定しておかないと、情報が散在化および冗長化してしまう可能性がある。

 「これらのシステムは、整理統合しないと、壁で仕切られ互いにアクセス不能な『庭』がたくさんできてしまい、せっかくのツールが死んでしまう」と、ハーバードビジネススクール助教授Andrew McAfee氏は、先週のカンファレンスで語った。

 McAfee氏は、「Sloan Management Review」の今春号に、Web 2.0テクノロジの企業内での利用について調査した「Enterprise 2.0」と題する記事を寄稿した。

 彼はその記事の中で、「ブログ、wiki、ソーシャルソフトウェアを企業アプリケーションとして採用する動きはまだ初期段階だが、徐々に定着していくだろう」と書いている。

 「Enterprise 2.0が大変興味深く斬新なのは、時間をかけて段階的に構築可能なプラットフォームだからだ」(McAfee氏)

 企業は、最終的には、エンドユーザー間のコラボレーションを実現する最先端のウェブテクノロジを、バックエンドのサービス指向アーキテクチャと組み合わせる必要があるだろう、とSeely Brown氏は説明する。

 エンドユーザーに人気のWeb 2.0ツールと、より柔軟性の高いIT管理システムを組み合わせれば、段階的に成長可能な企業向けコラボレーションシステムを実現できる。

 「Web 2.0システムの基本的な考え方は『小さく維持する』というものだが、段階的に参加者を増やし、利便性を高めていくというアーキテクチャを考えてみてはどうだろう」(Brown氏)

 一方、コラボレーションソフトウェア開発企業は、新しいウェブ標準規格に対応させるためにどの程度自社製品に手を入れるのか判断しなければならない時期にきている、とZimbraの最高技術責任者Scott Dietzen氏は言う。Zimbraは、電子メールおよびコラボレーションアプリケーションを開発する新興企業だ。

 2005年、最初の製品をリリースしたZimbraは、「個人向けウェブテクノロジの急速な普及を認識していたため、それをうまく活かすことができた」とDietzen氏は語った。

 「Web 1.0テクノロジも、初期の段階では個人レベルで広まり、そのあと、企業が不足点を補って、エンタープライズレベルでもあっという間に普及した。Web 2.0テクノロジも同じ段階を踏んで普及することになるだろう」(Dietzen氏)

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ

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