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あなたはLinus?それともBill?--草の根無線LAN「FON」が日本でも始動
自分の持つリソースを多くの人に無償提供する代わりに、ほかの人のリソースを無料で利用できる「Linus」と、自分のリソースを有料で提供する代わりに、ほかの人のリソースもお金を支払って利用する「Bill」。あなたなら、どちらを選ぶだろうか?
このような、やや哲学的な命題を問いかけるのは、スペインに本社を置く無線LANサービス事業者のFONだ。ユーザーが自分で公衆無線LANスポットを開設できるルータ用ソフトウェアを無料で提供するこの会社は、ユーザーにLinusもしくはBillになるよう勧め、世界中にFONのネットワークを張り巡らせようとしている。もちろん、日本も例外ではない。
「既存の公衆無線LANサービスは高すぎる」
FONはスペインで2005年11月に設立されたベンチャー企業だ。FONのソフトウェアを無線LANルータにインストールすると、ユーザーは利用しているISPにかかわらず、ほかの人が利用できるアクセスポイントを開設できる(ただしISPによっては、ユーザーが他者にアクセス網を開放することを規約で禁止しているところもある)。
FONはユーザーを3種類に区分している。1つめが、自分の使っているアクセスポイントを無償でほかのユーザーに提供する代わりに、他人のアクセスポイントも無料で利用できる「Linus」、2つめがアクセスポイントを有償で提供し、代わりに他人のアクセスポイントを使う際には利用料を支払う「Bill」、そして3つめが自分ではアクセスポイントを用意せず、他人のアクセスポイントを有償で利用する「Aliens(エイリアン)」だ。なお、Linusという名前はLinuxの開発者であるLinus Torvalds、BillはMicrosoft会長のBill Gatesから取っているという。
ユーザーは登録時に、この3種類のどれかを選択する。ただし現在FONが募集しているのはLinusのみで、欧米では6月からBillとAliensを募集する計画だ。決済はクレジットカード、プリペイドカード、PayPalでできるようにする。
マーティン・バーサフスキー氏(右)とFONの日本参入のアドバイザーである伊藤穣一氏(左)。バーサフスキー氏によれば、FONとは電話(phone)ではなく、アフリカのフォン族からとった名前だというFONを創業したのは、アルゼンチン出身の起業家、マーティン・バーサフスキー氏だ。バーサフスキー氏は国際通信会社のViatelやスペイン業界第2位の通信会社であるJazztel、同じくスペインで業界第2位のポータルサイトを運営するYa.comなどの創業者として知られる。FONを設立したのは、「インターネットを外出先や出張中でも使いたいのに、公衆無線LANの利用料金が高すぎると感じたため」(バーサフスキー氏)という。
SkypeやGoogleもFONに注目
FONのユーザーは「Fonero」と呼ばれ、世界中のFONのアクセスポイントを使うことができる。BillとAliensの利用料金は、24時間で200円程度にするという。「バスに乗るのと同じくらいの料金だ」(バーサフスキー氏)。ユーザーが気軽に支払える価格設定にすることで、既存の公衆無線LAN事業者に対抗する。
ユーザーが自分の無線LANルータをアクセスポイントとして他人に公開する、いわゆる「草の根無線LAN」という活動は、2001年ごろから北米を中心に一部のユーザーによってなされていた。バーサフスキー氏によれば、これらの活動とFONの最大の違いは、アクセスポイントを提供することで収益を得られるBillの存在だという。「すべての革命は、ボランティアモデルと資本主義のコンビネーションから生まれる」とバーサフスキー氏は話しており、サービスの鍵を握るのはむしろBillの存在のようだ。
このモデルにはインターネット業界が大きく注目しており、すでにFONはSkypeやGoogleなどから1800万ユーロ(邦貨換算で約26億円)を調達している。「Googleは自社サービスの利用拡大で広告収入を増やしたいと考えている。また、Skypeは(移動中でもSkypeで通話ができる)Mobile Skypeを実現したいと考えてFONに投資した」(バーサフスキー氏)。このほかMicrosoftやYahooとも、出資について話し合いを持ったという。
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