100ドルPCとライバルたち--軍配はどれに上がる? - (page 2)

文:Michael Kanellos(CNET News.com)
編集校正:坂和敏(編集部)
2006年02月28日 18時00分

シンクライアント

概要:シンクライアントは、安価で軽量な端末で、データの保存や計算処理はサーバ側で行う仕組みになっている。西側諸国では、銀行や航空会社、保険会社などでシンクライアントが使われており、またインドのRajesh Jainのような起業家や、Deepak PhatakおよびAshok Jhunjhunwalaのような研究者は農村地帯にシンクライアントを普及させようとしている。

長所:シンクライアントは、高速なプロセッサもハードディスクも必要としないため、中古モニターを含めても、100ドル程度にしかならない。また、さらにコストを下げるため有りもののテレビを利用する設計のものもある。ソフトウェアが中央のサーバ上にあるため、アップグレード作業やウイルス対策が簡単にできる。興味深いことに、シンクライアントを支持しているのは、多国籍企業ではなく各国の指導者だ。

短所:シンクライアントはサーバを利用するため、サーバ側が停止するとクライアント端末も使えなくなってしまう。また同時に大勢のユーザーがサーバーを利用していると、動作が遅くなると指摘したユーザーもいるが、それに対してシンクライアントの技術は確実に改善されてきていると支持者らは反論している。

「SUV PC」

概要:SUV PCは過酷な環境でも動くように作られている。SUV PCは、車の電源もしくは太陽エネルギーで動作し、ほこりやゴミが入らないよう密閉された構造になっている。IntelとVia Technologiesはすでに試作品を発表している。

長所:このマシンはほこりと電気という厄介な問題に取り組んでおり、また交換部品も容易に入手できる。SUV PCの中味は一般的なPCであり、途上国の人たちはこれを使いながら、実際の仕事のスキルを身につけることができる。インドのケララでは、児童が学校で習ったPCの使い方を、家に帰って親に教えている。発展途上国の人々はすでに、インターネットカフェでPCの使い方を覚えている。どこの土地のインターネットカフェに行っても、VoIPを使ってテレビ電話を楽しんでいる人の姿を目にすることだろう。

短所:価格(の高さ)。ViaのPCはおそらく約250ドルになるだろう。この計画の支持者らは、PCを村単位で共有するというアイデアを考えている。また、これらのPCではインターネットへの接続をどうするかという問題が解決されていない。インドでは、ブロードバンドというとふつうは128kbpsの回線を指す。またアフリカではブロードバンド接続など無いに等しい。「WiMax」なら問題解決に役立つかもしれないが、ただしそれも先の話だ。

Microsoftの「セルラーPC」

概要:Microsoftは、コンピュータとしても機能する携帯電話の試作品を発表した。ただしこのプロトタイプはまだ開発途中だ。

長所:携帯電話の普及率は著しい。中国やインドのような国では、携帯電話ユーザーのほうがPCユーザーのよりもはるかに多い。また、UAE(アラブ首長国連邦)のような富裕な国々でさえ、携帯電話の保有率が90%程度であるのに対し、PCの保有率はわずか20%台だ。(また、UAEの国民のなかには、通話量を抑えるために、イランの携帯電話会社のサービスを利用している者もいる)。携帯電話なら、世界のかなりの地域でネットに接続できるだろう。

短所:接続料の高さ。また、携帯電話は情報の入手には適しているが、たとえば幾何学の宿題をやったり、家計簿をつけたりといった他のタスクには、必ずしも適しているとは言えない。さらに、キーボードやモニター、アプリケーションも必要になるだろう。画面の狭さが問題になるのは、競合しそうな他の機器でも同じだ。

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