一方、Googleは広告収入に支えられたウェブベースの製品の品揃えを強化している。Googleのアプリケーションは今のところ、電子メール、写真の共有、そして消費者向けの各種サービスに限定されているが、Forrester Research CEOのGeorge Colonyによれば、今後はもっといろいろな製品が登場するはずだという。
Colonyは最近のあるコラムのなかで、「Googleはまた価格革命も先導している」と述べている。「Googleのプログラムは無料で、広告の掲載や配信からの収入で支えられている。この動きには先見の明がある。私は、企業向けの財務やERP、サプライチェーン用のソフトウェアでさえ、広告収入でまかなわれ無料で提供される時代がくると予想している」(Colony)
オープンソース製品が定着しつつあることは、すでに企業向けソフトウェアの価格設定モデルの変化を加速させているとアナリストらは指摘する。
IBM、Oracle、BEA Systemsをはじめとするインフラソフトウェアのプロバイダ各社は、100%自社製のソフトウェアを提供するビジネスから脱し、オープンソースのインフラソフトウェア製品を積極的に取り入れるようになっている。IBMにいたっては、自社に「WebSphere」というJavaアプリケーションサーバがあるにも関わらず、オープンソースの代替ソフトウェアであるGluecodeを買収し、メンテナンス費用を毎月徴収するというビジネスモデルを採用した。
オープンソースの支持者らは、データベースやビジネスインテリジェンスツールといったソフトウェアの場合、オープンソース製品は既存のものよりも安価であると主張している。また、オープンソース製品を扱う各社はソフトウェアを無償で提供するため、(少なくとも最初に)販売やマーケティングに多大な投資を行う必要がないと、アナリストや業界の幹部らは述べている。
Goldman Sachsの調査レポートによると、商用ソフトウェア企業が営業とマーケティング(つまり、新規顧客を探すこと)に費やす金額は、新ライセンスからの収入に対して、平均で82%になっているという。なお、2000年にはこの割合は66%だった。
たとえば、オープンソースのSugarCRMは、一般的に高給取りである営業担当者を雇用していない。同社は代わりに、自社のオープンソース製品のユーザーが売上の主要な貢献者となっていると、同社のCEOであるJohn Robertsは述べている。同氏は、営業とマーケティングに割く予算が少なければ、その分のリソースをエンジニアリングに振り向けることができると付け加えている。
複数のオープンソース企業の理事会に名を連ねるVA Software創設者のLarry Augustinは、ビジネスソフトウェアの営業/マーケティング費用の高騰が、製品の価格を押し上げていると言う。
Augustinは先ごろあるコラムに、「エンタープライズソフトウェアにおける従来型のビジネスモデルはもう通用しない」と書いている。「新規顧客の積極的な開拓によって収入が伸びたことで、営業/マーケティング費用は手がつけられないほどに上昇してしまった・・・いまや、こういった費用のために必要以上に高い価格が請求されている」(Augustin)
とはいえ、ソフトウェア業界のなかには、旧態を維持できている企業もある。
Piper Jaffreyの証券アナリストGene Munsterによれば、PhotoshopやIllustratorのような人気の高いデスクトップソフトウェアを販売するAdobe Systemsは、消費者に対する販売モデルを維持し、近年も販売価格を引き上げることに成功している。しかし同氏は、Adobeも他の販売モデルを模索する可能性が高いと述べている。
「企業は今後新たな(価格)モデルを採用するようになると思う。Adobe Systemsも、Microsoftのように、最初に一括で支払う額を減らす方法を検討し、サブスクリプション料金制を採用したり、製品を広告収入で支えるようになると予測できる」(Munster)
GartnerのCorreiaによれば、資金面で広告収入に頼ることのできる可能性が最も高い製品は、消費者向けの製品のように販売数が多いものだという。また、購入時の一括払いの代わりに料金を定期的に支払うというサブスクリプションモデルは、カスタムメイドアプリケーションよりも、電子メールやCRMといったアプリケーションに適していると同氏は述べている。
Rangaswamiによれば、こういった新たな価格モデルに加え、低価格のオフショア開発や最近のSOAに代表されるような、業界のより大きな変化も、厳しい要求をするようになってきている顧客にメリットをもたらすことになるという。
「買い手のほうに力がシフトしている。(ベンダーが)1つ100万ドルもするソフトウェアを販売しておきながら、さっさと次の契約を求めて他社に向かうことができたのは5年前のことだ」(Rangaswami)
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