究極の検索ツールを追い求める米大学の取り組み - (page 2)

Stefanie Olsen(CNET News.com)2005年09月01日 14時24分

 スタンフォード大は現在も、検索プロジェクト関連の育成の場となっている。Googleは2003年以降、スタンフォード大で誕生した少なくとも2件のプロジェクトを買収している。そのうちの1つは、パーソナライズされた検索ツールの研究/開発を行っているKaltixで、もう1つはスタンフォード大のコンピュータ科学分野の研究員であるAnna Pattersonが立ち上げたプロジェクトだ。また現在同大のAndrew Ng助教授らが、検索インデックス内のテキストから知識を引き出すための人工知能技術の開発に取り組んでいる。

 他のプロジェクトは新興企業へと姿を変えた。SearchFoxは、スタンフォード大で長年教授を務めた元工学部長のJames Gibbonsが、2004年12月に他のメンバーと共同で設立したウェブ関連の新興企業だ。私企業である同社は、ユーザー間のお気に入りリンク集の共有、ならびにパーソナライズされた検索インデックスの作成が可能な協調型検索エンジンを開発した。

 スタンフォード大学やマサチューセッツ工科大学(MIT)をはじめ、数多くの大学が、将来の大学図書館の大幅なデジタル化に伴うさまざまな問題の解決に取り組んでいる。数十億件のデジタル文書を取捨選択し、体系化するには、新しい検索技術が必要となるからだ。

 たとえば、MITは「Simile」と呼ばれる重要プロジェクトの中で、World Wide Web Consortium(W3C)と連携し、Semantic Webを使った次世代検索技術の開発を進めている。

 同プロジェクトの下で、MITのある大学院生は、Mozilla FoundationのFirefoxブラウザ用プラグインソフト「Piggybank」を開発した。このソフトを使用すれば、ユーザーはネットサーフィン中にアクセスしたサイトにキーワードが書かれたタグを付し、独自のラベル付きリンク集を作成することができるほか、さらにそれを「銀行(Bank)」と呼ばれるサイトに掲載することができる。これにより、そのブラウザは「Semantic Webブラウザ」と化し、ユーザーはウェブ上の既存情報に関する理解の範囲を拡大できる。

 「データアーカイブを一般化することにより、各データを今まで不可能だった方法で連携させることができる」と語るのは、MIT内の図書館の技術担当アソシエイトディレクター、MacKenzie Smithだ。

 Piggybankの機能を披露するデモでは、Boston.com、某映画サイト、Google Mapsの3つのサイトのデータを統合し、レストランと映画館の位置に対して、コーヒーショップがどこに位置するかを表示してみせた。また同ツールは、そのような情報を(ブックマークではなく)「データベース」の記録に保存し、後日、情報の属性や指定したキーワードで検索することも可能だ。

 MITは、Simileプロジェクトから生まれたPiggybankやその他の先端技術を学内で実装し、教職員や学生が利用できるようにしたいと考えている。

 UCBの研究センターでは、Wilenskyが、検索のより広範な定義に内在するさまざまな問題を解決するための野心的な計画を立てている。具体的には、画像/映像から電子商取引に至るまで、さまざまな形の情報を分析/体系化し、人々がそれらの情報を効果的に組み合わせ、そこから知識を引き出しやすくする、というものだ。

 信頼性とプライバシーは、今後発展が期待される分野だ。たとえば、Googleで発見したコンテンツはどの程度信用できるか、またeBayの出品者が本当に信用に足る人物か否かをどのように見極めれば良いか、といった問題がこの分野に該当する。

 Wilenskyによると、eBayの出品者の評価は一般に、自分にマイナス評価を付けた相手にマイナス評価を付け返すという、いわゆる報復的評価によって歪められているという事実を、同氏の研究グループが立証したという。また複数のマイナス評価を受けた者が一旦登録を抹消した後、後日再登録して履歴を白紙に戻すという例もある。そこでWilenskyのチームは、オンライン上の売主がどの程度誠実/不誠実かを評価するための統計的モデルを使った「EM trust(EMはexpectation maximization=「期待最大化」の略)」と呼ばれるアルゴリズムを構築したという。この技術はウェブサイトにも応用可能だろう。

 同センターは、バークレー市のダウンタウンにあるUCBのWireless Research Center(WRC)をモデルにして作られる。WRCは大手携帯電話企業の支援を受けており、UCBの電気工学部教授であるJitendra Malikやコンピュータ科学教授のDavid Forsythなどが所属している。両教授は共にコンピュータビジョンの研究に取り組んでいる。

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